(9)
「ま、わたしが最近発明した魔法だから当たり前なんだけど」
セフィーゼは得意げに言った。
「はぁ!? ふざけんな!」
あんまりだと思い、柄にもなくつい怒鳴ってしまった。
「そんなの知ってるわけないだろ!」
「やだなあ、そうカッカしないで」
セフィーゼは
「悔しいんだろうけど、ユウト君は今、わたしが魔法で作った風の対流の中にがっちり捕らえられているんだから。絶対逃げられないよ」
もがけばもがくほどえ肌にまとわりつく気持ち悪い感覚――これも風の一種なのか。
が、それが魔法である以上、解除できないこともないはずだ。
「ユウト君のかたーいバリアも、さすがにこの『エアウイップ』は防げなかったね。でも、まさかこんなに上手くいくとは思わなかったなあ。もしかしてわたしってかなり頭いい? それとも単にあなたがおバカさんだったのかしら?」
「………………」
無性に腹が立つ。
セフィーゼにではなく、こんな単純な罠に引っかかってしまった自分に。
「あ、黙っちゃった。それじゃあお喋りはここまでにしよっか。でね、色々考えたんだけど……やっぱりユウトくんにはここで死んでもらうね」
セフィーゼが可愛い顔であっさり言った。
「わたし、もしかしたらユウト君のこと嫌いじゃないかもしれない。でもこのまま生かしておいたらイーザにとって後々厄介なことになると思うの。だからごめんね!」
白々しい。
ごめんだなんて、さらさら思っていないだろうに……。
「せめて苦しまないように一息で殺してあげる」
セフィーゼはそう言って、右手の指先に渦巻き状の風を発生させた。
「本当は剣で刺し殺せば簡単なんだろうけど、実はわたし、刃物で人を傷つけるのは苦手なの。生々しいし返り血を浴びるし」
「……
「エヘヘ、それはついその場の雰囲気でね。まあどうでもいいじゃない」
セフィーゼは舌をちろっと出した。
「――さてと、ちょうどユウト君のバリアの効力も弱まってきたころかな? それでえ、こんなに近くから、しかも100%の力でわたしが『エアブレード』をユウト君に向けて撃ったらどうなると思う?」
「たぶん『
僕は正直に答えた。
「あらま、認めちゃうんだ。意外だねえ」
セフィーゼは小首をかしげた。
「もうあきらめちゃったのかな? じゃ、実際試してみよっか?」
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