第40話ノー・カロリン

 家のゲートに木の札を掛けた。

札には『No Carolling』と書いてある。


 12月の15日辺りから子供達が家々を廻って歌を歌ったり太鼓を叩いたりしながら小遣いを集める。

 それを『カロリン』と言って、クリスマスまで続く。


 以前は、一生懸命に練習した歌を披露する子供達もいて、フィリピンの習慣に従って、1グループに50ペソ程を渡していた。


 最近は金を貰うためだけに、ダラダラと気合いの入っていない歌を歌う連中が増えてきた。

 一昨年、下手くそなグループには20ペソしか渡さないで追い払うと、タガログ語で何か叫ぶ様に歌いながら去っていく。

 フィリピン人に何と言っているのか聞くと

『ケチ、ケチ、あの家はケチ』

と言いながら歩いていると言う。

 プチッと切れた。

 翌日、例の札を作ってゲートに付けた。


 お前らのせいだ、ガキども!


 フィリピン人は子供だと言うだけで何でも大目に見る。ダメな事をダメだと言わない。


 俺は言う。人の子でも注意する煩いオヤジなのだ。

 

 文句あるかフィリピン人!


 因みに、基本的に近所とは仲良くやっています。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る