第11話 医療費
海外の生活で心配なのが医療費だと思う。今年は歯医者に随分と献金してしまった。始まりは日本でだいぶ前に着けた奥歯の覆せものが取れてしまった事だ。
金属の覆せものを持ってプエルトプリンセサの歯医者に行った。
50代の女医さんが歯の状態を見て笑顔で言う。
「少しクリーニングして着けるから800ペソ・・・大丈夫?」
どの医者に行っても、まず料金を告げるのがフィリピンスタイル。金が無いと何もしてくれない。
金属の覆せものを着けて貰って、周りにはみ出たセメントを削り取って終わり。
しかし、着け方が完全ではなく、3日で取れた。再び同じ歯医者に行った。
「この前着けたのが取れちゃったよ。しっかり着けて」
「この材質はフィリピンでは使わないからね。少し削ってから着けましょう」
再び800ペソの支払い。
数ヵ月は調子良かったが、食事中に再び取れてしまう覆せ物。たまたま何日か忙しかった為に覆せものを失くしてしまい、反対側の歯を使うようにして数ヶ月が過ぎた。その間に覆せ物の下の詰め物まで取れてしまっていた。
またまた歯医者。
「詰め物だけなら800ペソ。覆せものをするならプラスチックが7000ペソで金属は8000ペソ」
???8000ペソ??約18000円!
「こういう場合は、みんなどうしてるの?」
「覆せもの高いから詰め物だけの人が多い。硬い物を噛まなければ大丈夫。あなた、反対側で噛めるから詰め物だけダイジョブ」
と言う訳で右側奥歯では硬い物を噛まないようにしている。覆せものに8000ペソを掛けても取れてしまいそうで歯医者を信用出来なかったのだ。日本に帰った時に歯医者に行こうと思っている。保険が無くても、2万円も掛ければしっかりと治してくれるだろう。
抜歯だけなら安い。先月、親知らずを抜いたが、薬代も入れて850ペソだった。
フィリピンの医療費は病院によって金額が全く違う。プエルトプリンセサにも幾つか病院が有るが、公立の病院と私立の設備の整った病院での治療費の差は約3倍。
しかし、外人が公立の病院に行くと、その光景に全員が驚く。ベッドが足りなく廊下に寝ている人や階段に座って点滴をしている人。野戦病院とはこんな感じなのだろうか。
認定された病院で使える医療保険も有るが、治療費の50%が出るものでも保険料が高く、加入者は少ない。
持病のある人がフィリピンに住む場合は、日本から住所を抜かずに健康保険を入ったままにしておくのが得だ。
海外での治療費の領収書を和訳して提出すれば、保険が降りる。
所得が無ければ保険料も住民税も安い。
風邪薬などの一般的な薬は良く効いて安いが、専門的な薬は高いだけでなく、注文しても手に入るまで時間が掛かるようだ。高い薬を買える人が少ないので薬局に在庫していない。
持病のある人は定期的に日本に帰って病院に行き、寿司を食べて戻って来るのか宜しいかと。
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