第238話 スコちゃん、危機一髪!

 夕食を終えて、しばらく。

 家族がゆったりくつろいでいる時間帯。

 スコちゃんがいないのは不自然である。


 いつもならば、ソファの片隅か、設置してあるベッドで苦しゅうない、と構えているものなのに。

 私が食事をしている間、背後でぺったりおなかを床につけて見守っているはずなのに。

 スコちゃんがいない。


 呼んでもいない。

 出てこない。

 祖母の部屋にもトイレにも、お風呂場にも、書庫にも倉庫にもいない!

 緊急事態だ! でも、ひとつ探していないところがあった。


 それは……ベランダだぁ!

 祖母が雨戸を閉めるとき必ずと言っていいほど、ベランダに飛び出して行ってしまう彼女だったりするので、念のため。

 開けたら、いたー!


 小雨の降る中、うろうろしてたので、リビングに招き入れる。

 祖母は雨戸を閉めるときに、スコちゃんをベランダに出してしまうことがよくある。

 今回は祖母に聞いても知らんふりされたので、悪意ととる。


 ささいなことではあるけれど、もしもスコちゃんが一晩中表にいたらと思うと、不憫を通り越して悲劇!

 祖母は、最近認知症の気配を醸している。

 ゆうべはお風呂に入ったはずなのに「わすれた」と言っている。


 母も母で、「風呂入ったかな?」と娘に聞いてくる始末。

 憶えててくれよ!;;

 認知症って、それまで築いてきた人間関係やらキズナだとかを、破壊するので回避してほしい。


 そして、スコちゃんをいじめないでほしい。





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