第197話 2020/05/06/水

 ゴロゴロズガーン! と雷が鳴ってはいますが、スコちゃんは少しも意に介さず、ピンクのベッドに横たわっています。

 最近の地震のときもそうだったのですが、スコちゃんは肝っ玉が据わっています。

 今見たら、もう眠っているようです。


 スコちゃんね、わたくしが母のベッドに横たわっていると、隣に来て毛づくろいをします。

 で、寝ている様子を見て、腕を胸にまわすと、



「ん……」



 と鼻で鳴くので、苦しいんだな、と思い腕をときます。

 目が醒めちゃったらしい。

 そういうとき、彼女は必ず毛づくろいをします。



 まるで儀式であるかのように。



 前脚をなめたら肩、腹、のように。

 そして、空気を読まないわたくしが、まだしっとりしているその肩に顔を近づけると、花の香りがします。


 私の小さな女神……そう思うと、わちゃくちゃに抱きだきして、きゅむきゅむして、わーっとかきやりたくなるけれども、我慢。

 スコちゃんはおもちゃじゃない。

 でもこの恋心は、届かないのかしら。


 最近、よく遊ぶけれども、いまいち伝わってない気がするなあ。

 それでも好きなんだけれどね。






 10

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る