第66話 しつけ失敗気味。

 キッチンのテーブルに上らないように、厳しくしていたのだが。

 私にも迷いがあるせいだろうか。

 心を鬼にして、でもケガをさせたくない。


 そんな思いを見透かしたように、スコちゃんは私の手をするりとかいくぐり、ひょいひょい、ぴょんぴょんかわしてしまう。

 侮りがたし。

 しかたなく、両前脚をひっつかんで下ろそうとしたら、それもストレスだったみたいで、ソファのカバーにじゃれついて、私が手をさし伸ばすと噛みつくふりをする。


 スコちゃん、おまえのためなのよ。

 マナーを身につけないと、祖母と母に邪魔もの扱いされてしまうの。

 いくら挨拶をしようとしても、距離を置かれたり、振り払われたりしてるでしょ?

 そういうことなのよ。


 せめて、マナーができていれば、邪険にはされないから。

 おぼえて、お願いー!






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