第62話 2019/12/09/月 ばあちゃんがー;;

 キッチンにスコちゃんのエサを作りに行くと、スコちゃんがほぼほぼ、くっついてきます。

 それなので、夜中の1:25AMとか3:30AMとかに起きだして部屋を出るのだけれど……。

 狭い部屋から出てくるもんだから、スコちゃんがリビングではしゃいでいると、祖母が後からやってきて、「こっこっこ!」「おんり! おんり!」「り! せんか! り! せんか!」とどやしつける。


 それもかわいそうなので、私はスコちゃんのしつけを徹底することにした。

 幸いまだ6か月。

 まだ間に合う!


 方法は、祖母にも説明したのだけれど、テーブルや流しにあがったときに、どやしつけると、スコちゃんは「注目されている!」「かまってくれている!」と勘違いをするので、何も言わず、目も合わさず、顔も見ずに『安全な所へ』下ろしてやるのだ、と言った。

 実際、私とスコちゃんだけのときは、うまくいっている。

 だけれど、祖母が「なにをそんなに目くじら立てて」と言って、また「こっこっこ!」「おんり! おんり!」「り! せんか! り! せんか!」とやるので、スコちゃんのしつけがうまくいかなくなりかけた。


 そこで、私は祖母にもう一つ注文を付けた。

 用のないときにキッチンやリビングに入り浸らないでくれと。

 おかげで私は見たいTVも見られない、いつも遠慮してるから、録画も消化できていないし、はっきり言って邪魔なんだと。


 祖母はやぶにらみで「なにをそんなに目くじら立てて。あたしは洗濯物をとりこまにゃんとよ!」と主張する。

 そんなことはどうだっていいのだ。

 事実、祖母が来る前は私がやっていて、ちゃんと要領よくやってきたのだ。


「目くじら立てて!」っていうのだけれど、だったら、スコちゃんに目くじら立てずにいられるんですか? あなたが「こっこっこ!」ってやるから、スコちゃんはテーブルをステージだと思ってしまう。

 自分が脚光を浴びてるもんだと思ってしまう。

 だから、やめてくれと言ってるんです。


 こんどからしつけを厳しくして、あなたがたに迷惑をかけないようにするから、せめて邪魔をしないでください。

 と、言いました。

 あと、昼寝をするなら、自分のお部屋でどうぞ。


 私は別段厳しい意見を言っているつもりはないのだ。

 だって、日ごろ私が、父に強いられていることばかりだから。

 いわく、部屋から出るな、用もないのにTVを占領するな、オレのもんだこの家は、とこういう感じです。


 私が部屋を出るなと言われるのならば、後からこの家に来た祖母にも適用できるはず。

 私は正しい。

 私は間違ってない。


 なのに。

 祖母は、朝から部屋にこもって、食事を済ませていたくせに、心配して部屋をのぞいた母にこう言った。



「あん子が邪魔と言った」



 と。

 私の前でペラペラしゃべっていたのに、母には言葉足らずですねえ。

 しかたがないから、母にも一から説明し直した。


 母は聞いてくれたから、一安心。

 スコちゃんも、おいで、と言えば来てくれるし、先に行ってと言えば先を歩くし、部屋の前でおとなしくお座りして扉が開くのを待っていてくれる。

 基本、おりこうさんなのだ。


 祖母の「こっこっこ!」と「おんり! おんり!」「り! せんか! り! せんか!」が害悪であると正直に言おう。

 最初に間違えてしまったのだから、やり直さねばいけないのだ。

 スコちゃんが上がっていいのはイスの上とコピー機の上まで! というように。


 今日は祖母がひっこんでいてくれたから、午前中に映画を二本も観られた。

 スコちゃんにササミを裂いて持っていき、自分の食事も作れた。

 スコちゃんも部屋から出ようとはせず、実に平和に過ごしましたよ。


 ふう。






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