第26話 スコちゃんの鳴き声

 スコちゃんは赤ちゃんだが、ミャーミャーとは鳴かない。

 もともとがそうなのか、赤ちゃんの時に母親から引き離されたせいなのか、鳴き声も小さい。

「ん……んん?」という感じ。


 注意を引こうとしているのだろうか。

 それなら、私には効果絶大である。

 私は空気を読むので、空気で話されると無視できない。


 抗議するときか、何か訴えたいことがある時はアルトでにゃおんと鳴くところが、ドキッとする。

 それ以外では、せつなげに、「んんーん! ん、んうん?」と、口を開かずに鳴く。

 庇護欲をそそられる。


 さて、遊んでほしいらしい。

 私の顔を覗き込んでくるが、私はPCに夢中で、疲れたので休みたい。

 不満があっても、スコちゃんはかなしそうに「ん……」というだけなので、甘えてしまう。


 もう、夜は眠いのです。

 でも、廊下の方で私を呼ぶ声を聴くと、意識の底の底の方にスコン! と何かが触れたようで一気に覚醒する。

 スコちゃん、何事? のろのろと身体を起こす私。


 そして、案の定、洗面台に頭をつっこんでいるスコちゃんを発見し、安堵する。

 そんなことの繰り返しだ。

 静かでちっちゃい鳴き声が、とてもか弱くて、常に注意せねばと思わされる。

 スコちゃんの鳴き声は凶悪である。





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