02.フェリーに乗船しよう!

 フェリーに乗船する日になった。夕方にフェリーターミナルまでウニキャンで行き。ドワーフの係員にチケットを見せると「そのまま進んで」と言われたので埠頭に進入。埠頭には乗船魔導車用の駐車スペースが有り車種別に並ぶようになっている。


 そして目の前には大型の白いフェリーが停泊している。パンフレットによると全長は二一四メートル。幅は二六メートルだそうだ。約三〇〇〇名ほどの乗客と八五〇台の魔導車を運搬可能だそうだ。


 すでにフェリーは船尾にあるランプウェイが開いていて受け入れ準備が進んでいる。小型の魔導車から乗船が始まる。小型車は二階の駐車デッキ、大型車は一階の駐車デッキと言う割当になっている。


 順番が来たのでフェリーのランプウェイから船内へ乗り入れる。ウニキャンはトラックなので一階のデッキへと誘導される。所定の位置についたらエンジンを止めてパーキングブレーキをかけて必要な身の回り荷物とナツを連れて外に出る。


 上部のデッキに上がってペット同伴の船室へと行く。船室はそんなに広くはないが約一四時間過ごすだけなので問題ない広さだ。室内にはペット用の柵が用意してある。ナツを柵の中に入れてドッグフードと水を与えて外に出る。フェリー内では決められた場所や駐車場から室内までといった場所でしか連れていけないのでナツは留守番である。


 外部のデッキに出てみる。港では港湾作業員達が出港準備をしている。後部デッキに向かうと乗船も終わったようでランプウェイが跳ね上げられ始めている。ランプウェイが格納されると舫い綱が解かれて、いよいよ出港だ。汽笛が鳴ると魔導機関の出力が上がり魔導水流噴進機から大量の海水が取水管を通って後方に押し出されていく。


 ゆっくりと押し出されるように進み始める。ゆっくりとだが確実に港を離れていき堤防を越えて外洋へと進む。暫く海を見ていたが日が落ちて暗くなってきた。そろそろ腹が空いたので飯でも食べるかと船内に戻った。


 船内にある食堂に向かう。乗客三〇〇〇名の船だけあって食堂も広い。一応、海が見える船首側にあり昼間なら景色もよいだろう。今は右舷の方に街明かりが見えるだけだ。食堂はセルフサービス方式になっていて好きなものを取っていき最後にレジで精算する形だ。もう一つの食堂は少し高めのコース料理のレストランみたいなので今回は節約でセルフサービスの方にした。


 前菜に『トマトとチーズのサラダ。粒パスタとピーマンとアスパラガスとトマトとチーズのサラダ。一の料理にウサギ肉とアーティチョークとセロリのパスタ。ひき肉とチーズのパイ。二の料理に羊肉のハンバーガー。トマトのシチューとタラの切り身。すべてこれから行く魔女島の伝統料理のようだ。全体的にトマトが多いな?魔女族はトマト好きなんだろうか?


 トレーに選んだ料理やドリンクを乗せて精算して貰い空いているテーブルへ向かう。窓際は既に埋まっているので中程のテーブルに座って早速食べ始めた。


 まずは粒パスタとピーマンとアスパラガスとトマトとチーズのサラダ。色違いのピーマンが使ってあって彩りがカラフルだ。ソースはヨーグルトベースで酸味がある。もちもちした粒パスタの食感が良い感じ。


 次はウサギ肉とアーティチョークとセロリのパスタ。ウサギ肉は初めて食べたかも。筋肉質で意外と美味しい。セロリは匂いで嫌いな人も多いが俺は好きなので問題なく食べれる。


 最後にトマトのシチューとタラの切り身。トマトを煮たシチューがタラの切り身を香草でオーブンで焼き上げたものに掛けてある。トマトの酸味と干したタラを更に焼くことで旨味が増していて凄く美味しい。まさにトマトとタラの旨味の洪水だ。


 ワインも美味しかったし全部美味しかったので全部食べきれた。さて、ナツが寂しがるといけないから早く部屋に帰ろうかと立ち上がって食器類を返却口に片付けて部屋に戻るのであった。

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