第77話 女神見習い、解呪ポーションを知る
また1人街の家に住人が増えたことを報告し、ユリスさんの店舗や料理のことも伝えた。
若干、ブランに呆れられてしまったのも少し前の話で、その後リディ、ブランとユリスさんは無事に対面を済ませ、リディは時々料理を習うことにしたらしい。
ブランもユリスさんの料理を気に入り、リディに料理を教えることを認めた。ただし、危険なことはさせないと約束していた。
うん、その約束の時ユリスさんの腕に傷ができてたけど、スルーしたよ。だって何か言ったらあの傷、私の腕にもできちゃうもんっ。
ユリスさんも店舗を開店できるようになったらしく……あ、ちなみに私の名前で商業ギルドに店舗の届けを出したよ。これ出しておくとなにかと便利なんだって……一応店主は私になっているけど、ユリスさんが買い取る時にはそれも書き換えられるらしい。店舗の空いてるスペースにポーションとブランの羽をいくつか置かせてもらった。
ユリスさんは境遇もあり、生活に使うものから武器、それにアクセサリーまでひと通り作れるらしいので色々と頼みがいがありそうだ。ひとまず欲しいのは農作業に使えるものかなぁ……
美味しい料理が毎日食べられるとブランもご機嫌だ……いや、2日にいっぺんはお持ち帰りだったでしょーが……
◇ ◇ ◇
ここ数日で女神シリーズがレベル4になったことをきっかけにレベル上げに励んだ。
レベル4になると色々とできることが広がるようだ。
女神の聖域がレベル4でストレージの容量が100→150にアップしたり、心眼もレベルアップで今まで不明だったものも少しだけわかるようになった。
例えば……
〈????の像〉は相変わらず不明なままだったけど〈???石〉は空の魔石だと判明。魔石は魔核の上位互換のものと考えればいいみたい。魔核には属性がある……例えばコンロに使うのは火属性とか……魔石にはそれがなくどの属性も使えるらしい。へー。
空の魔石には魔力を込めることができるみたい……ただ、いっぱいにするには変容のネックレスの比じゃなく魔力が必要みたいだけど……コツコツ貯めておこう、何かに使えるかもしれないし。
他もレベル上げすべく頑張っているけど祝福は変わらずレベル3、浄化と調合はレベル2から3になっていた。これによって感謝ポイントのボーナスポイントがかなり貰えたのでまたなにかと交換したいと思う。
午前中に採取した薬草でポーションを作っていると……
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【交信】
《大地神 アルネルディ》から交信されています。
[はい(許可)] [いいえ(拒否)]
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「あれ、アルさん……まだ、降臨の時期じゃないよね。もう少し先だったと思うけど……」
とにかく無視はできないので、一旦ポーション作りの手を止め[はい]を選択する。
『エナちゃん、元気かの?』
「アルさん……はい、元気ですけど……今日はどうして?」
『なに、その後リディちゃんはどうしてるかと思っての……それにアレは試してみたかの?』
「アレってなんのことでしょうか?」
『ほれ、わしが帰るときにいろいろ実験してみるとよいって渡した素材のことじゃ!』
あー、そんな物もありましたね……ストレージに放り込んだまま放置してました。
『うむ。その様子ではやはり試していないんじゃな? アレらを上手く組み合わせると解呪ポーションができるんじゃ。リディちゃんに効くかどうかはわからぬが……』
「えっ、そうなんですかっ」
『いやー、わしもレシピ忘れてしもうてのぉ……歳かのぉ。とはいえ、地上には伝わっていないものもいくつかあるはずじゃから自分で頑張ってみておくれ。それじゃあまた、近々会いに行くでの』
「ありがとうございます」
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【交信】
《大地神 アルネルディ》との交信を終了しました。
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と言われてしまったので実験。
いや、だったら最初から教えて欲しかった。解呪ポーション。
うん、実はもらってすぐ心眼したんだけどほとんどが〈???〉だったんだよね。これ……レベルが4になってから初めてわかった情報だった……アルさんそれを見てたのかな。
「ただの石かと思えば結晶だったんだ……」
どうやら、アルさんにもらった石は魔結晶というもののようだ。
魔結晶は魔石よりも年数が経過していないもので、さらに数十年経つと魔石になると考えられているものみたい。
魔結晶の時点では属性が分かれていてそれが解呪に重要な役目を果たすらしい。ふんふん。
「なるほど……早速作ってみよう」
解呪ポーションの存在を知り、早速色々試す。
この実験でわかったことだがポーションを作るときに浄化と加護を授けた魔核を混ぜると効果があがるようだ。調合を使うと魔結晶と同じく粒子になり溶けた。
アルさんの置き土産をほとんど使い切りいろいろと組み合わせひとつだけ出来上がったポーション。ほかはただのまずい水になってしまった……リディに飲んでもらい、その度に心眼で確かめると効果があった。
「おおー、できた!しかもリディの数値が500も減った!」
「ん、すごい」
「あと2本くらいしか材料ないけど作っておこう」
それからわかったことは解呪ポーションは1日に何本飲んでも効果があるということだった。そして、レシピのないポーションは特殊ポーション扱いらしく、これも特許にできるらしい……へー。今度、登録しておこうかな。
「ん、全部飲んだ……」
「1日でなくなっちゃったけど、呪いが1500も減ったのはすごいよね。私の浄化の15日分だよ!」
「ん、でもエナの浄化もすごいよ?」
「リディ!なんていい子っ……でもこの魔結晶っていうのがネックだよね……しかも、黄色じゃないとダメみたいだし。それ以外はなんとなく集まりそうなんだけど……」
「ん」
出来上がった解呪ポーションの材料は……
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〈解呪ポーションの材料〉
・神の加護水
・魔結晶ひとかけら(黄色のみ)
・体力草(品質:良以上)
・魔力草(品質:良以上)
・ガノンの木の根 1本
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神の加護水は私の加護で大丈夫だったからいいとして、体力草と魔力草は品質:可ではダメだったから品質:良以上。これは畑で採取できる。
ガノンの木の根1本……これもなんとか手に入りそう。頑張って森の中を掘ればいい。
「うーん、魔結晶か……」
どこかに落ちてないかな……これ、また探しに行かないとなぁ。
アルさんもっとたくさん持ってないかなぁ……はぁ。
「あては全くないんだけどねー……ん?どうした、ブラン?」
ブランがやたら私の周りを飛んでいる……探し出せとでも言ってるのかな?
「ん……外に雪が降ってるって」
「え、ここって雪降るのっ?」
慌てて外に出るとあら、不思議……結界の外は雪が降っているのに、結界の中はいつもと変わらぬ気候だ。
「あれ、そういえば今まで雨とか降ったことあったっけ?」
「ん、今みたいに外だけ降ってたよ」
「へー、そうなんだ」
どうやら、結界内はある程度同じ環境が保たれていたみたい。今、初めて知ったけどね。
「あ、でも雪かきしなくていいのは便利だなぁ……」
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