第33話 女神見習い、小屋へ……
次第に小屋にも愛着が湧いてきて、掃除したり修繕したら、だいぶ家らしくなってきた。
かなり快適になってきたので(最初のボロボロの小屋に比べると)休憩だけでなく初めて寝泊まりしてみようと思う。
理由としては、ようやく女神の聖域のレベルが上がり、消費魔力がわずかに減ったことでひと晩の間結界が持つようになったので、サブマスさんに渡された紙(以降 サブマスリスト)にあった花の雫を採取したいから。
「本当、あの雑貨店のおかみさんには感謝しかない。だって、この指輪無しじゃ多分まだ無理だもんね……」
あと街より森の中にあるせいか……魔の森が特別なのかはわからないけど、この小屋の方が涼しいんだよね……まぁ、ランヴィの街もリタール王国の中では涼しい方らしいけど……
今回はお試しを兼ねているので宿はそのままに、もしかしたら泊まりかもしれないので、心配しないでほしい旨を伝えてある。
瞬間移動で小屋まで移動し、《
「これで明日の朝までは持つはず……多分」
うん、すごいキラキラしてるけど……気にしない。人気もない場所だし。
魔力の節約のためにはキラキラは受け入れよう……キラキラ光る不審者よりマシだよ、うん。
少し、魔力が心細くなったのでジッと座って回復に努める。
「ご飯は買ったものがあるし、水や光は魔法で出せるでしょ……いざとなれば雑貨店で買ったランプもあるし。あとは、ベッドか……」
ボーっとすること30分くらいかな? 少し魔力が回復したので修繕スキルで家具を直してみようーー
「うん、微妙……」
足の朽ちたテーブルは全体が斜めで、物を置けば転がる。
座面の壊れた椅子は布をひけばなんとか座れるかな?
さすがにベットは修繕じゃ直らなかったし……仕方ない。
「まずは泊まるためにベッド代わりのものを作るところからかな……」
《
「よし、 これでテーブル兼ベッドができた……今日は野営セットの毛布にでも包まればいいや」
テーブルがわりに使えるように高さも少し出したので、魔力をだいぶ込める必要はあったけど……
修繕で直した椅子は座面に布さえひけば……若干ガタガタするけど、ポーションを作るときに使えるかな、多分。
その後は周囲をウロウロしつつ地図を埋めたり、薬草採取しつつ、明日の朝に採取したい花の位置を確認する。サブマスリストの説明も確認して蕾の花を心眼する。
-----
【アジュラムの花:蕾】
朝方にしか咲かない花で、蜜はポーションの材料になる。
-----
「うん、これで間違いないな……明日の朝に寝坊しなければ問題ない」
小屋へ戻り、しばらくの間ポーションをちまちま作って、温かいご飯を食べたら簡易シャワーで汗を流し、結界をチェックしてから毛布にくるまり早めに眠りについた。
翌朝ーー
「あー、よかったー……寝坊しなくて」
目的の花がある位置まですこし距離があるので、急いで準備して小屋の結界を張り直してから出発……
「確か……この辺に……あ、あった!」
-----
【アジュラムの花:開花】
朝方にしか咲かない花で、蜜はポーションの材料になる。
-----
サブマスリストによればかなりのお値段で売れるらしい。
「あ、蜜どうやって採取しよう……ポーションの瓶に詰めればいいかな?」
試行錯誤しながら散策し蜜を集めること約1時間……ポーション2瓶分の蜜を手に入れた。
もちろん、ひと瓶は自分用だ。
どうやら地図は埋まった部分のみ、地点を登録できるみたいなので……いくつか薬草や花の群生地を登録しておいた。
地点を登録することでイメージが確実になり、かなり正確に瞬間移動できるようになった。
そうだ、ヒュージアントの解体もしてみよう。
なんか使える素材があるかもしれないし……ヒュージアントをストレージから出して……って結構でっかいなぁ。
これ、女神の聖域なかったらかなりピンチだったかもしれない……
「えーっと、『解体』素材指定は使える部分全部!」
こんな大雑把でいけるのかな……でも細かい指定は今のレベルじゃできないみたいだし……
ヒュージアントの体が光に包まれ……なんか盾になりそうな硬い胴体部分とギザギザした大きな牙、触覚、羽、足(複数)、ヒュージアントの魔核が地面に残った。あとは光の粒子となって消えていった。
「うーん……使える部分って指定したから間違いはないんだろうけど使い道が全くわかんないな……」
これを簡単にできますよ。という解体スキルすごいね……これからも魔物はできる限り避けるつもりだけど何かあった時は重宝しそうだね。
とりあえず、解体したヒュージアントの素材もストレージに放置でいいかな……
ロクに家具もなければ大して広くもない小屋だけどそれでもひとりになれる空間があるのはいい。好き勝手にしても文句言われないし。
「なかなか悪くないんだよね……」
時々採取+その度に小屋を補修=自分のものじゃないのに何だかこのまま放置するのもなぁ……いっそこのまま住んじゃおうかな? って感じ。
まあ、プライベートな空間が欲しかっただけに多少の立地の悪さには目をつぶるとして……ミーナちゃんや宿の食事が離れがたいけれど、食事に行けば多少は……
なんだかんだ言いつつも、気持ちは固まっていた。
自己責任なら森に入ってもいいみたいだし。わくわく。
「お家ゲットだー!わーい」
といってもまだまだ本格的に住むには修繕や買い出しが必要だし、元手はタダとはいえ生活に必要なものを揃えるとなるとそれなりにお金はかかるから……宿を引き払うことで浮くお金をあてようかな
場所が場所だけに手伝いは期待できないから自分でコツコツやるしかないんだけど……アルさんとかメルさん、手伝ってくれないかなー。
アルさんやメルさんなら一発なんだろうけどそんなこと頼めないしなぁ……ていうか、いまの時期は天界だよね。
「また、地道に頑張るか……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます