第8話 アロア

「気をつけて!? 何か気配がする!?」

 俺たちは冥界に行くために、まず魔界の入り口である水龍様の元を目指す。

「ゴロゴロ~。」

 いきなりゴロゴロ転がりながら女の子が現れた。

「うわあー!? ヘスティアーがもう一人!?」

「ヘスティアーの親戚か!?」

 俺とセーラ姫はゴロゴロする者はヘスティアーに見える。

「アロア!? アロアじゃないか!?」

 ヘスティアーはゴロゴロ転がっている女の子を知っているみたいだった。

「あ、ヘスティアー姉さん!」

 女の子もヘスティアーを知っているみたいだった。

「ヘスティアー!? 知り合いなの!?」

「はい。アロアはゴロゴロ会のメンバーです。」

「ゴロゴロ会!?」

 謎の組織ゴロゴロ会。ただゴロゴロ転がるだけのオノマトペ的なリフレッシュ会である。

「あ、間違えた!? アロアは上級天使です!」

「上級天使!?」

 説明しよう。上級天使とは、天界の唯一無二の絶対神ルシファーにお仕えする神の使途のことである。

「見えない。絶対に見えない。」

「でもヘスティアーが元女神なら、この子が天使でも無理はないかも。」

 俺とセーラ姫はどう反応すればいいのか分からなかった。

「ゴロゴロ~。」

「ゴロゴロ~。」

 アロアとヘスティアーはゴロゴロ転がって久々の再会を喜ぶ。

「ゴロゴロするなー!」

 俺とセーラ姫のイライラは募る。

「ダメだよ!? アロアにそんな失礼な口の利き方をしちゃあ!? アロアは月のハリウッドを持っているんだから!?」

 上級天使アロアは月のハリウッドの持ち主だった。

「月のハリウッド!?」

 一瞬ドキーンっと俺とセーラ姫に緊張感が走る。

「嘘。こんなゴロゴロガールが、ハリウッドを持っているはずないわ。」

「そうだよ。上級天使っていうだけでも怪しいのに、奇跡を起こすハリウッド持ちだなんて。あり得ない。」

 俺とセーラ姫はゴロゴロ女神の言うことを信じなかった。

「いいでしょう。私の実力を見せてあげましょう。ムーン・ハリウッド・パワー!」

 ジャンジャカジャンと月のハリウッドの力を解放するアロアの体が月の光に包まれる。

「キャア!? 眩しい!?」

 月の光に目を塞ぐセーラ姫。そして次第に光が弱まり月の光の中からアロアが現れる。

「上級天使! 月のハリウッド! ムーン・ウイッチ! アロア!」

 現れたのは、月の光を扱う魔法使いのアロアだった。月のローブ、月の三角帽子、月のロッドを装備している。

「ハリウッドって、騎士になるんじゃないの!?」

「知らないの? ハリウッドは持ち手の心で、騎士でも魔法使いでも、いろいろな職業に変身できるのよ。」

 神秘のハリウッド。

 つづく。

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