第308話 ※●●●?

 今なんと言ったのでしょうか?。


「ごめん...聞こえなかったからもう一度だけ言ってくれない?」


 凄く言い辛そうにする彼には悪いのですが、やはり聞かなければならない事ではあると思います。


 もう一度大きく深呼吸をした後、彼は答えてくれました。


「父さんは●●●」


 何故でしょうか?上手く聞き取れません。


 まるで自己防衛本能が働いて聞き取れないようにしているような...、そんな感覚...。


「ごめん...聞き取れない...、聞き取れないはずのに...」


 涙が自然と溢れてくるのを感じます...。


 なんででしょうか?、今...私は...、凄く悲しいです...。


「カリンちゃん!!、お願い...、もうローシュにその事を聞くのは止めてあげて...」


 今にも泣き出しそうな顔で私の手を握る母さん。


「いや...いいんだ...、俺がようなもんなんだからな...、カリンには俺を責める権利がある...」


 今はっきりと聴こえてしまいました...。


 死んだ...?、誰が?。


 いや...話を聞いていれば分かります。


「父さんが死んだの...?」


「「!!」」


 今2人が凄い顔をしたので当たりなのでしょう...。


 そんな顔をするという事は、もはや答えを当てたのと同じです。


 父さんが...死んだ。


 死んだ。


 死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ。


 その言葉が何度も頭の中を回りながら、現実の父さんの死に顔がこちらの父さんと重なりました...。


「うぇぇぇっぇぇぇっぇ....」


 まるで心が砕け散るような衝撃...。


 得体の知れない気持ち悪さを体験しながら私はその場で吐いてしまいます...。


「カリン!!」


「カリンちゃん!!」


 2人の心配する声を聞きながらも私は得体の知れない恐怖に飲まれて行きました...。


(なんで父さんが死んだの...?、もしかして私が興味本位に町の外にでたせいなのかな...?)


 私は自分の親を...。


 そう思うと震えが止まらない...。


「ダメ...、いや...」


 誰にも助けを求められません...。


 だって...私が父さんを殺したのと同じなのですから...。


「カリン!!落ち着け!!」


「カリンちゃんのせいじゃない!」


 2人にそう言われても自責の念に駆られずにはいられない私...。


 でも一番気になる事がありました。


 それを考えると、全身の震えは止まり笑みがこぼれました。


「カリン...?」


「カリン...ちゃん...?」


 2人が私の顔を見て不安そうな表情を浮かべていますが、今の私の心は晴れ渡っていました♡。


「誰...?、父さんを殺したのは...」


 私が罪を償えるとすれば、父さんを殺した相手を...する事だと気がついてしまったのです♡。


「早く言ってよ...ねぇ...お兄ちゃん...」


「カリン...なのか...?」


 凄く驚いているお兄ちゃんの表情に、私は少し笑みを浮かべるのでした。








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