第274話 謎の建物

「エリサがいたってことは、何かしらあるってことだよな?」


 地下には彼女の妹がいたのを確認しているので、今度は上を探索してみようと思います。


 階段を登り、いろんな部屋を探索して見てもホコリばかりで特に何もありません。


「ほんっとホコリばっかりだな...、何か奴らの拠点とか印したものとかないのか?」


 根気強く探して見ましたが、2階に有益そうな物は何一つ見つからない。


「しょうがない、3階も漁ってみるとするか」


 2階を探索し終える頃には気分も幾分かましになっていました。


「さあて、何が出てくるかな...」


 とは言え、敵のアジト的な場所に変わりはない為、最大限に注意はしています。


 前、後、右、左。


 どのの方向から襲われたとしても反撃できるよう、剣のストックはしっかりと作っておき、万全の態勢で挑みます。


(なんか少し明るいな...)


 3階にある部屋の窓から、わずな光が差し込んでいるのが確認できました。


 それに人の気配がします。


(誰かいるのか?)


 俺はゴクリと唾を飲み込み、ゆっくりとその部屋に近づいていきます。


(鬼が出るか蛇が出るか...)


 呼吸を整えてから戸に手をかけて、一気に開き中にいる者達に声をあげます。


「動くな!、俺はクティル王国騎士団ロー...シュってカリン!?なんでこんな所に!」


 そう、スヤスヤと眠ってはいますが、確かに妹であるカリンです。


(やっぱり妹の寝顔は可愛いな〜...、じゃなくて!なんでここで寝てるんだ!?)


「おいっ!カリン起きろって!」


 頰を弱めに叩いて妹を起こします。


「ふわぁ〜...ぁ...、お兄ちゃん?」


 眠たそうに目を擦りながら彼女は目を覚ましました。


「なんでこんな所で寝てるんだ?、しかもちゃんとした毛布まで持って...」


「ち...違うのこれはエレネアが...」


「エレネア?...」


 その名を聞いた俺は、思わず顔をしかめてしまいます。


「カリン?...!、その男は!」


 以前見たときよりは弱々しく小さくなっていますが、俺がその顔を見間違えるはずがありません。


 見覚えのある食人植物に剣を向けます。


「よう...久しぶりだな...、この食人植物が!」


 その言葉を聞いた妹が、目を丸くして立ち尽くしていました。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る