第268話 夜の森

 薄暗く気味の悪い森の中を歩く俺。


(以前カリンが遠足で来たのはこの辺りだったよな?)


 個人的に妹が町の外に来ているとすれば、真っ先にここにくると思います。

 丘は遠いし、釣りを楽しんだ釣り堀に妹が興味をそそられるとは思いません。

 消去法で行けば行ったことのあるドルミの森に行くのがベストだと考えました。


「だが...、最近の夜の森は物騒だな...」


 さっきから魔物供の歓迎が酷い。

 もう既に3匹くらい始末したが、この調子だとまだまだ大量に潜んでいそうである 


「早くカリンを探さないとな...」


 そう思って森を歩いていると...。


「!?」


 見覚えのある人影が見えた。


(あれは...エリサか?)


 妹を探さないと行けないとは言え、こちらも見逃す訳には行きません。


(どうする...?、後をつけてみるか?)


 なんとなくここにいる彼女がどうにも胡散臭く思えた為、しっかりと後をつけて行く俺。


(どこまで進む気だ?)


 結構森の奥深くまで突き進んで行く彼女を見失わないように後をつけていくと...。


(!?、消えた!?)


 俺は思わず目を疑った。

 だが、本当に消えているのである。


「そんなバカな!」


 彼女が消えた地点に走って向かい、調べていると...。


「あれっ?、ここに変な空間があるな...」


 俺がそこに手を入れると、腕が壁の中に入っていくような感覚を得た。


「...、行ってみるか...」


 罠かもしれないが、行ってみない事には何があるのか分からない。

 それにもしもここが奴らのアジトなのであれば儲けものだと思う事にした。


 ズブッ...、ズブブ...。


 まるで沼に入るかのような、そんな感覚を覚えながらも、最大限神経を張り巡らせ、注意をしながら進む事にした。



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