第250話 なんで...

「なんで...、なんでエリサを攻撃してるの...、兄ちゃん!」


「カリン?、そこを退け」


「嫌だ!どきたくない!」


 カリンの奴がエリサを守りに入ったのです。

 それもあんなに短い短剣でローシュの一撃を止めた事に私は驚きました。

 この時になって私は彼女の意図が掴めてきたのです。


「エリサァ!!!」


 私が叫ぶとニヤニヤと笑う彼女の笑顔が本当に腹がたつ。


「ありがとうカリン!、突然お前さんの兄とエルシーに殴られちゃって困ってたんだ」


「うん!わかってる!お兄ちゃんやめて、エリサは悪い子じゃないよ」


「だが...」


 やっぱりそうだ...。

 ローシュは妹に弱い。


「いいの!ローシュ!カリンには後で私が話すから!今はエリサを!」


「...」


「ローシュ!!」


 戸惑う彼の思考も分かるが、今はエリサを取り逃がさない事の方が重要なのだ。

 無理やり体を動かして特攻を仕掛ける私だったが...。


「はい!残念!回復しましたよっと!」


 さっきまで血が流れていたはずの場所には、もう傷一つありませんでした。


「なんでもうあの怪我が治ってるの?」


 驚きの表情が隠せない私をケラケラ笑う彼女。


「さぁて?なんででしょう?」


 近づいた私を簡単に蹴り飛ばし閃光と同時に逃げ去る彼女。


「待って!!」


 私が叫んでもただただ虚しい声が響くだけでした。





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