第223話 年明け

「皆さま明けましておめでとうございます」


 新年の鐘が鳴る中、母さんが城の会場で新年最初の挨拶をしていました。

 晴れ着を着込んだ姿はとても綺麗だと思います。


「カリンちゃん!新年明けましておめでとう!」


「パニラ...明けましておめでとう!」


 私と彼女は笑いながら新年の挨拶を交わした。


「去年は色々あったけど、カリンちゃんと一緒に入れた時間が長くてよかったな〜」


「いつもは違うの?」


「うん!、空飛ぶ家で町周辺を回る時にはいつもパパと兵士さんだけだったから退屈だったんだ」


「へぇ〜...、そうなんだ〜」


(まじか...、確かに私は空飛ぶ事自体が新鮮だから問題ないけど、それに慣れてるパニラは絶対に面白い訳ないよね...)


 1人であの空の上で待機して、町が来たらちょっとだけ顔を出して手を振るの繰り返しだし、子供が飽きるのも無理はないかな。

 そう思えば、いっせ〜の...で!で遊べたのは彼女にとって幸運だったと言えるのかも知れないと考える私。


「私で良ければいつでも遊びに来るよ」


「えっ!?、いいの!?」


「ええっ、私達友達でしょ?」


 何気なく呟いた言葉でしたが、彼女は感極まったかのような表情を浮かべています。

 まあ、お城に勝手に入ってもいいのかは母さんや父さんに聞いて見ないとわかりませんが、流石に4ヶ月に一回くらいのペースでしか彼女に会えないのはどうかと思い始める私なのでした。

 だって見たところ同世代の子で彼女の友達と呼べるのは私と...。


「カリンさん、パニラ様、あけましておめでとうございます」


「「フレイ!(君)」」


 そう、フレイ君です。

 どこからともなく現れた彼にびっくりしてしまう私とパニラ。


「やぁ」


 気さくに話しかけて来る彼はイケメンですが、どういう事でしょうか?。


「ねぇ、チコちゃんはどこ?」


 どうしても気になったので聞いてみました。


「ああ、チコなら...」


 彼がパチンと指を鳴らすと、炎が空中に現れ、その中からチコが現れる。


「およびでしょうか...」


「カリンさんが君の事を聞いてきてね」


「そういう事でしたら私は常にフレイ様の隣にいるのでお構いなく」


「はは...そうなんだ...」


(何だろう...物凄く悔しい!)


 彼は召喚獣を異空間から好きな時に呼び寄せていますが、私にそのようなことはできません。

 それ故にアアルを常に頭の上に置いて活動させていますが、指パッチンで召喚獣を呼ぶのはなんだかとても格好良く見えてしまったのでした。

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