なぜか異世界に幼女で転生してしまった私は、優秀な親の子供だったのですが！！

第190話 私は...お前の...

　夜空を見上げながら私とヤヨイは話し合っていました。

「そういえば、エルシーさんの踊りすごかったよ！、カリンちゃんと息ばっちしのコンビネーションで物凄く興奮した！」

　目を輝かせながらそう叫ぶ彼女を見ていると、幼き日の私が重なる。

(私も始めて本物の踊りを見た時、同じような感想を述べていたな...)

　そう思うと少し笑えました。

「なんで笑ってるの？」

　不思議そうな顔で私を見てくる彼女。

「さあ...、なんでだろうね...」

　会場内から聞こえてくる声とは裏腹に、私の精神世界は波のない海のように落ち着いていた。

　一回大きく息を吸った私は満を持してその言葉を呟く。

「ヤヨイ...、あんたは私の実の妹だ」

「うん、知ってる！」

「...、驚くのも無理はない、私も...へっ！？」

　私は思わず聞き返す。

「ヤヨイ、聞き違えたかもしれないからもう一度言うぞ、...あんたは私の実の妹だ」

「だから知ってるって、シスターアルエッタが教えてくれたから！」

「...」

(ア・ル・エ・ッ・タ〜...！、感動シーンを台無しにしてくれて本当にありがとう！！)

　ニコニコしながらも彼女に対する怒りのような炎が燃え盛るのを感じていたのだが...、気がつけば私は彼女を見ていた。

　少し潤んだ瞳から涙を零す妹。

「あれっ...？、変なの...、なんで涙が...」

　涙を拭う為手を目に擦りつける姿を見ているとなんだか嬉しい気分になってきた。

「ほらっ、これ使いなよ」

　そう言いながらハンカチを渡すと「ありがとう」と受け取る彼女を見て。

「どういたしまして」

　と呟く私。

　私のハンカチで涙を拭いた彼女は再び気持ちのいい笑顔を浮かべて私にこう言います。

「ねぇエルシーさん...、エルシーお姉ちゃんって呼んでも良い？」

　をの言葉を聞けた事に幸福感を得た私は静かに頷き手を差し伸べました。

「もちろんさ！」

　思えばこの言葉をもらう為にこの町へ戻ってきたんだと、この時ほど実感として感情に現れた事は他にありません。

　私の出した手を幼い手で握り返してきた彼女を見た私は、優しく微笑み返すのでした。