第154話 頭痛い...

 私が目を覚ますともう朝が来ていました。

 昨日城で飲み過ぎたので、まだ頭がガンガンしています。


「うう〜...頭が痛い...、ちょっと飲み過ぎた...」


 完全に二日酔いの現象に陥ってしまいました。

 頭を抑えながらエルカ邸の冷蔵庫の中身を見て水を拝借することにします。


「水くらいいいわよね、そんなに高くないし」


 コップに注ぎ一杯飲み干しました。


(水が美味しいと感じるなんて、久しぶりね...)


 私が一息つくと、エルカの奴も気分が悪そうに水を飲みに来ていました。


「う〜ん...、あっ!姉さん先に起きてたのね」


「まあね、一応ここまで運んでくれた事は感謝しておくから」


 そう言いながら2杯目を注ぐ私。


「私にも注いで」


 彼女がコップを差し出して来たので一応注いであげた。


「ありがとう」


 彼女も私と同じように水を飲み終わると再びコップを差し出してきた。


「もう一杯」


「...」


(面倒くさい...)


 そう思いながらももう一杯水を注ぐ。


「姉さんありがとう」


「どういたしまして」


 その会話の後はお互いに普通の日常に戻った。

 まだクティル王国祭は始まったばかりなので、日常に戻るという表現はおかしいかもしれないが、6日目までは暇なので私は閉じこもるつもりである。

 その期間に妹が何をするのか知りはしないし聞く気もないのだが、最近の妹は何やら焦っているようにも見えた。

 これは私の考えなのだが、恐らく彼女は輪廻教の連中とも分かり合えると未だに本気で思っているのだと思う。

 馬鹿馬鹿しい妄想だ、魔女の存在を崇拝し崇め讃える愚かな者達など死んで当然だと言うのに、それさえも個人の考え方だと主張する妹には心底飽き飽きする。

 次はない、以前に一度逃しはしたが今度は絶対に逃してやる気などないつもりだ。

 彼女から聞いた話では輪廻教の生き残りは3人だと聞いている。

 それも、私が逃した奴らが三下だと思えた時には自分が許せなくなった。

 輪廻教徒の三下ごときを逃したと言う事実は私のプライドに傷を付けるには十分すぎるほど鋭かったのだ。


(...、手を汚すのには慣れている、格の違いってやつをその身をもって味わわせてやるわ...)


 不気味な笑顔を浮かべた私は、新しい強力な魔法の製作に取り掛かるのでした。

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