第122話 魔法障壁

「痛った!!、なんだこれ!?」


 私は空気の壁を触る様に手を当ててみると、バチっという激しい音と共に弾かれた。

 もう一度触ってみると電流が流れている事が分かった。


「痛ったい!!、これって魔法障壁か...」


「ご名答...、ちなみに坑道内全てを封鎖しましたので貴貴女に逃げ場はありませんよ...」


「はんっ!たったあれだけの時間で坑道内全ての出入り口を塞げるわけない!、私を捕らえた気になるのは早いじゃない?」


 すぐ様起き上がり彼女の猛攻を切り抜けて行くが、流石に何発かは被弾する。

 結構な火力があるので割と辛めだ...。


「痛ったいわね!、ちょっとは手加減してくれない!」


「笑止、貴女は我々にとって障害となる可能性のあるギルドメンバーをみすみす逃す訳ないでしょう?」


「そういうって事は...、あんたはやっぱりヤベー集団の一員って事でいいのね?」


 彼女はニコッと笑い私の方を見てこう言いました。


「そうですね...、貴女から見れば我々はヤベー集団で間違いないですよ、ただ世界から見ればこれは救済にも等しい事を行なっているのです...、さあ祈りなさい...我らが神に!」


 何やらごちゃごちゃ言っている隙に手斧を投擲するが、彼女の周りには魔法障壁が貼ってあるので届かない。

 舌打ちをしながら何度か反撃を試みるもやはりあの障壁は破れそうにない。


「届きませんねぇ...」


「そうね...、やっぱ逃げるしかないよね!」


 なんとなくの地形を歩きながら覚えているのでしらみつぶしに出口に向かう。

 どこもかしこも封鎖されているが絶対に抜け道はあるはずだ。

 あの短時間でこの坑道内の全てを結界に閉じ込めることなど並大抵の魔法使いにできはしないのだから...。


「ここも...、ここも駄目か...」


「ふふっ逃げ惑いなさいな...、逃げ疲れた時が貴女の最後の時ですからね...」


 不敵な笑みを浮かべながらしっかり私との距離を一定以上開けてこない。

 私の足は早い方だと思うのだが、彼女もなかなかに早いので逃げるだけでもかなり消耗する。

 その上に正確無比な魔法弾の性能がじわじわと私の退路を狭めてくる。


「きっつ...」


 思わずそう呟かずにはいられなかった。

 汗を垂らしながら逃惑う私を見て彼女は静かに笑う。

 獲物を狩るハンターの様に彼女はきっとこの狩りを楽しんでいるのだろう。

 どうやって逃げ切るかを考えながら私は逃走を続けた。

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