第15話 母さんの優しさ
「うん...」
私が目を覚ますと、母さんが涙をこぼしながら抱きついてきた。
「カリンちゃん!!」
「かあ...さん...?」
頭がぼーとするので、頭を手で押さえる。
「私どうなっていたの?...」
母さんは涙を拭いて私の方をしっかりと見て、簡潔に話してくれた。
「カリンちゃんは、母さんの魔道書に魔力を吸われていたの...、あの魔道書は読む者の魔力を吸って内容を構築して行くのだけど...、カリンちゃんの魔力がすぐに吸い尽くされて、魔力切れを起こしたカリンちゃんの生命力まで奪っていたのよ...」
(私が勝手に母さんの部屋に入ったから迷惑をかけてしまったのか...)
私は悪いことをしてしまったので謝る。
「母さん...、ごめんなさい、勝手に母さんの部屋に入って本を見たりして...」
怒られるのを覚悟して謝まったのだが、母さんは優しく私を包み込んでくれた。
「いいのよ...、母さんが部屋に鍵をかけて行かなかったのがいけないのだから...、カリンちゃんは何も悪くないの...」
母さんの手の温もりは暖かく、優しさに満ち溢れていた。
前世でも味わったことのある、母親の愛情と呼ばれるものだ。
その本質は異世界でも変わることはないのだろう。
「母さん...、本当にごめんなさい...」
私は泣いた、母さんに迷惑をかけたことと、勝手に部屋に入ったことへの罪悪感が消えないからだ。
悪いのは自分だ、母さんは何も悪くない。
それを許すと言われた時に、歓喜に溢れる感情がとめどなく溢れてきたのだった。
私は、この人の元に生まれてきてよかったと思える。
正直前の世界の母よりも、こちらの母の方が親をしている。
前の親をけなしているわけではないが、この人からは、親の優しさを沢山感じるのだ。
私は母さんの優しさに包まれながら、この日はめいいっぱい泣き続けた。
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