クレアライン

思いもよらず


見知らぬ場所で


数時間待たされる


そんなことお構い無しに


人々は僕の前を通りすぎる


突然重奏な音楽が響く


「街角コンサート」


誰かがいった


聴き覚えのあるメロディーに


カントリーなんとかという


お菓子を僕は思い出す


そんなことお構い無しに


セーラー服を着た男の子たちが


僕の前を通りすぎる


将来国を護るだろう彼らの姿は


僕には眩しすぎて


形だけ膝に置いていた本に


思わず目を向ける


そこに書いてある文が


まるで浮き上がるように現れた


「そうだ。私にはわかっていたのだ。自分が望むもの全てを手に入れてしまった人間であり、もうこの先これ以上幸せにはなれっこないんだということが。」


僕はどうだろう


何も手に入れてはいない僕は


いや待てよ


何も手に入れてないなら


僕はいったい何を失ったんだ


そんなことお構い無しに


時間は僕を置き去りにして


過ぎ去っていく




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