(7)鉄屑について 〔ファンタジー〕

天井に夕闇を写す映写機も

その街角の、この星の美しい皇女を写す受像機も

なにもかももう滅びを迎えていたのだ


空から鉄屑が落ちてくるのだから

人々は気づいていただろう

滅びを迎えていることを


貧民窟に暮らす少年は

鉄屑ばかり集めていた

大人達は彼を鉄屑と呼んだ


そこに空は無い

映写機が映し出す嘘の空があるだけだ


人々はそれが嘘であることを知っている


夕闇は徐々に黒い成分を増す


街角の古い受像機に映る美しい少女


鉄屑はその少女に恋をした

かなわぬ恋であることを、もちろん彼は知っている


しかし、その美しい少女が〔アンドロイド〕であることを彼は知らない


夕闇は黒い成分を増す、人々はそれが嘘であることを知っている


しかし人々は、この星を支配する者達が、人間ではないことを知らない


夕闇は黒い成分を増す

鉄屑の恋が、かなわぬものであることを隠すように


空から鉄屑が落ちてくる

かなわぬ恋であることを、もちろん彼は知っている


しかし人々は、この星を支配する者達が、人間ではないことを知らない

鉄屑は、彼自身もまた自分が〔アンドロイド〕であることを、

彼は知らない

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