　週末には年中多くの人で賑わう行楽地。

　四季折々の自然を満喫できる山林を整備された遊歩道から楽しめる。

　中間地点には深い渓谷が道を横切る。

　川までの高さは20mあるため、大きな吊り橋が架かっている。

　国内でも有数の木製の吊り橋で、訪れる人はここも楽しみの一つにしている。

　谷は時折強風が吹き抜ける。その度に橋は左右に揺さぶられる。

　いわゆる吊り橋効果にはもってこいの場所だが、渡っている時にその揺れが来ると思わず綱を握って身を屈めてしまうほどだ。

　でもスリルがあって若者には人気のようだ。

――ごく一部の人は渡れなくなる瞬間があるらしい。

　それは感性の鋭い人、特に霊感がある人は注意しなければならない。

　そういう人達は風で大きく振動する橋で動けなくなる。

　外からそれを見ている分には揺れが怖くて止まっているようにしか見えない。

　しかし、その人が泣き叫び始めたら、ただ事じゃないと思うだろう。

　原因は高さ？揺れ？

……違う。

　彼らは見えている。

　自分の前後に虚な目をした大勢の人が詰まっていて、力の限り橋を揺らしているのが。

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