下水道で修行?

第3話 スキル案内人改めヤス

なんか美女が出てきて泣き出したと思ったら幼女化して何かお願い事される夢を見た気がする。


あまりにもはっきりした夢のせいか全く寝た気がしない。


「う~ん、真っ暗だ。まだ夜みたいだから寝よう。Zzzz」


ベットが硬くなっている気がするけど冷たくて気持良いから良く眠れそうだ。


『旦那、旦那。起きて下さいよ。』


何だ、この頭に響くような声は?


アルコールに弱いから酒を飲んだことはない俺は二日酔いになったことはないので頭にガンガン響くってのは分からないけど、もしかしたらこんな感じなのかもしれない。


『お願いしますよ。現状を説明しないと旦那の命に関わりやす。』


頭に直接響きので耳を塞いでも・・・アレ耳がない?


なんか自分で言うのもなんだけど耳がないのに落ち着いているな俺。


「でお前誰だ。真っ暗で見えないけど、どこにいる?」


『良かった。オレッチは女神ビジアンヌ様の力で生み出された案内人です旦那。』


なんかスッゲー下っ端っぽい喋りが不安を掻き立てるな。


「ビジアンヌ?」


『へい、旦那が転生前にあった。ここイセカヘウムの女神ビジアンヌ様ですぜ。』


あ~、夢と思いたかったけどアレは夢じゃないのね。


つまり俺はこれからイセカヘウムを救済しないといけないわけね。


あの美女の名前がビジアンヌなのか。


「そっか、よろしくな。それじゃお休み。」


『ちょ、ちょっと、待ってください旦那。何で寝るんですか。しかもこんな場所で。っていうか旦那って寝る必要あるんだすか?』


こいつは何を言っている。睡眠は健康な身体作りには必須だぞ。


「俺は寝たい。しかも今は夜。寝ない理由は全くないぞ。」


『いやいや、旦那今は昼ですぜ。』


こいつの目はもしかして腐っているのか。


「こんなに真っ暗なのに昼なわけないだろ。」


『ビジアンヌ様がいた空間のようにすれば視界を確保できやすぜ。そもそも旦那に明るさは関係ないとはおもいますが。』


ビジアンヌがいた空間ってあの真っ白い空間のことか。


確かあそこでも最初は真っ暗で何も見えなかったけど身体の中から得体のしれないものを放出したら真っ白な世界と美女が見えたんだったな。


身体の中にある・・・前世では感じたことない得体のしれないものがある。一度出来たのだやり方はもう分かっている。


掌握し身体の外に放出する。


すると一気に視界が開けた。しかも360度すべてを視界に収めることが出来ている。


どうやって処理しているのか不思議だけど便利だから良しとしよう。




ピロリン


スキル・魔力操作を獲得しました。


スキル・魔力感知を獲得しました。




ウム、どうやらスキルを取得したようだ。


イセカヘウムは妖精や精霊、ドラゴンがいるファンタジー世界だからスキルや魔法があるんじゃないかと思っていたけど正解だったようだ。


なんでそんなに冷静なのかだって?そりゃもっと驚くべきことがあったからだ。


というわけで。


「なんじゃこりゃ!!!!!」


『旦那、いきなり大声だしてどうしたんだ。』


「なんでってお前、俺の姿が!」


≪魔力感知≫のお陰で視界を確保して自分の姿を確認したんだが人間の体をしていなかった。


人間どころか動物でも昆虫でもない。


丸くてプルンプルンした動物でも昆虫でも魚でもないもしかしたら生き物でもない姿をしている。


『特に驚くような姿じゃないと思うぜ。普通のスライムの姿だぜ。』


そう俺はまさにゲームで出てくるスライムの姿をしていた。


どう考えても驚くよな。


俺に言わせればアメーバの仲間みたいなヤツだぜ。


最近ではアメーバを飼うのが流行っているみたいだけど俺は嫌だぞ。


アメーバ何て飼うヤツの気がしれん。


「驚くに決まっているだろ!スライムだぞスライム。動物ですらない謎の生物だぞ。」


『旦那が何をそんなに驚いているのか知らないっすけど、旦那はさっきまで丸い球から触手を何本も生やしていたんすよ?スライムと遜色ない存在だったと思うっすよ。』


「そうかもしれんが俺は前世は人だったんだぞ。」


『転生で旦那が最も力が発揮できる生物になってるっすよ。その証拠に驚いても精神的なダメージは皆無なはずっす。』


「確かにスライムなんて人間とかけ離れた生き物になったわりには落ち着いているな。」


『それに旦那の前世界ではスライムって成功者の証っしょ。』


前世にスライムなんて生物はいませんよ。おもちゃのスライムはあったけど。


もしかしなくてもラノベに出てくるスライムのことだろ。


ん?俺の今の状態もラノベみたいなものか。


ってことは成功者パターンか?


「いや、当たらずとも遠からずってところか?」


確かスライムに転生したのは敵キャラで死ぬってパターンもあったしな。


『じゃ、そんなに驚く必要ないっすね。』


落ち着くと何でか分からんけど自分がスライムってことは気にならんな。


こいつの言うように精神的に特にダメージもない。


俺が最も力が発揮できる生物つまり適正がある生物がスライムってことなんだろうな。


「俺がスライムに転生したってことは取りあえず受け入れるわ。それで案内人のお前の名前は何ていうんだ。」


『特に名前はないっす。』


「んじゃ、お前のことはヤスって呼ぶわ。」


『分かったっす。俺はこれからヤスっす。』




ピロン


スキル≪案内人≫はスキル≪ヤス≫に変化しました。




名前を付けただけでスキルが変化したぞ。


「ヤス、スキルの名前が変わったけどコレって普通なのか?」


『スキルが変化するのは統合と進化のときだけっす。そんな簡単に変化するわけないっす!』


どうやら珍しいことらしい。検証するためにも思いついたら名前を付けてみよう。


『旦那、スキルの話も出たんでステータスを確認しときましょうぜ。』


敵を知り、己を知れば百選危うからずって言うらしいから、自分のステータスを知るのは大事だろう。


ステータスが普通にあるってさすがファンタジー世界。

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