第91話 ホテル住まいの女達②

ある日、アリスから連絡が入る。


「隣の部屋の子と、店に行きたいのだけど、いい?」


「おっ!ユカちゃん?いいよ、おいで」


「わかったぁ」


「やっと俺の思いが通じたのかなぁ?、それともアリスが誘ってくれたの?」


「どちらもちが〜う。彼女さぁ通っているホストと喧嘩をしたんだって」


「え?ホストなんて大嫌いって言ってたのに?」


(何だよ。あれは嘘かよ)


「あの子、毎日ホストクラブに通ってるんだってよ」


「マジ?」


「だから楽しませてやってね」


「オッケー」


(毎日?上客じゃん)


「じゃよろしくね」


(何だ・・・ホストの男いたのか)


俺はグループの誰に紹介しようか考える。


「相原さんかな・・・」


(色々世話になっているしなぁ・・・そうしよう)


店に出勤する。

俺は、店の中を見渡す。


「相原さんはまだだろうなぁ」


(あれ?いた!めずらしい)


俺は、急いで相原の横に座る。


「おはようございます」


「おう」


「実は、アリスの友達でホストクラブに毎日通っている女がいるんですよ」


「へ〜それで?」


「今日、アリスがユカって言う子を連れて来るんですが」


「毎日ホスト通いって言ったよな?いい客だな」


「相原さんに紹介しようかと思っているんですが、どんなもんでしょ?」


「おお、サンキュー。いくらでも歓迎だぞ」


「他の店ですが、そこのホストと喧嘩したとか、そんな感じの事言ってました」


「わかった。気合入れてやらないとだな」


「よろしくお願いします」


約束の時間に二人はやって来る。

ユカは、アリスに続いて店に入って来る。


(来たな)


「相原さん例の来ました。お願いします」


「おう、了解」


二人は案内されてテーブルに座る。

二人で席に向かい、相原はユカの隣に座る。

まずは、ヘルプとして他のホストは座らせないように俺がみんなのドリンクを作り始める。


「いらっしゃい。ここは初めて?」


「うん」


「相原です。よろしく」


「ユカ。よろしく」


「ゆかちゃん、俺の先輩なんだ。よろしくね」


後は、相原に任せることにする。

俺は、全員に作ったドリンクを配りアリスの隣に座る。


「では、かんぱーい」


アリスは、俺に耳打ち。


「相原の客にするの?」


「そそ、もう話はつけてあるんだ」


「ほんとは、遼の客にしてあげようと思ったのに〜」


膨れっ面のアリス。


「へ~そうだったんだ」


「だって、あんた毎日誘っていたじゃん」


「あはは、確かに」


「もう、もったいない」


「まあまあ」


「でもさ、隣の部屋の子だとアレの声が丸聞こえだし難しいかもね」


「おいおい」


(全く何を言い出すんだよ)


「私がよくても彼女がダメでしょ」


「だよな。お前との関係も知っているしね」


(自分の友達も普通に紹介するんだな・・・すごい女だ)


「彼女ね、嫉妬心すごいらしいからどうせ無理だと思う」


「そうなんだ。残念、残念」


(そんな話をするほど仲良くなったのか?)


アリスの行動は、俺にとって客が増えるし有難い話。

だが・・・。

俺は、少し考えさせられる。


アリスは、俺に自分の男に対して恋愛感情はないのだろうか?

友達を俺に紹介して男と女の関係になっても平気なのだろうか?

俺は、アリスに恋愛感情が沸いてるのに辛いものがある。


ユカがトイレに行った時に、他のグループのホストがユカに話しかけている。


「あれ?アリス見てよ」


「なぁに?」


「あいつ知り合いかな?アリス知ってる?」


「知るはずないでしょ」


「だよな」




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