第46話 罪滅ぼしの客①
ゆうこは、友達を連れて店に来る。
なぎさという女。
俺好みの女だったが、真樹に紹介する約束だったので、渋々キューピット役に徹する。
なぎさは、思ったより簡単に真樹の指名で飲みにくる事になる。
ゆうことなぎさは、同じグループでシフトも同じらしく仕事が終わるといつも一緒に店にやってくる。
真樹とは、昔から女の好みが違っていて女の争いでぶつかる事がなかった。
なぎさは、真樹のタイプではないと思っていたが二人は付き合う事になった。
「真樹、なぎさに相当な入れ込みようだな」
「うん」
「お前のタイプじゃないと思ったけど」
「はは・・・確かにそうだ。お前にとっちゃどストライクだろ?」
「・・・・」
(ばれてたか・・・)
「いいよ。わかるさ。でも何故か俺は気に入ったんだよね〜」
「なるほどね〜だけどさ、毎日仕事終わってから会ってない?」
「いいだろ、ほっといてくれよ」
「他の女は、相手しなくていいのか?」
「いいんだよ。それよりタイプだからって今度は人の女と寝るなよ」
「ばか。もうしないって!」
ゆうこから聞いた話だと、なぎさの前の男は危ないヤクザな男。
あまりにも嫉妬がひどく、逃げるように別れたようだ。
いまだに店に客として来たり、しつこく付きまとわれているらしい。
店に客として来ても居留守を使って避けている様子。
「なぎさの元彼、やばいみたいだぞ」
「うん、聞いた」
「気をつけないと、お前も巻き込まれるんじゃない?」
「大丈夫だって」
「本当に大丈夫なのか?」
「問題ないよ」
「心配してるんだけど?」
「しつこいよ」
真樹は、聞く耳を持たない。
なぎさは、毎日店に来る。
真樹は店が終ると一緒になぎさの家に帰る。
ゆうこも心配していたが、真樹もなぎさも周りが見えていない状態。
(幸せそうでいいけど・・・)
真樹は、なぎさ以外の客が一人、また一人と離れていく。
「お前さ・・・」
俺は、忠告しようと言いかけて声をかけるのをやめる。
真樹は客の数が減ったのに、なぎさだけで売り上げが伸び順位が上がっていく。
店的には問題ないのだろう。
ある時、真樹は俺に相談を持ちかけてきた。
「なぎさと田舎に帰って結婚をしようかと思っているんだ」
「マジ?」
「うん、マジ」
「そこまで話が進んでるんだ?」
「そうなんだ。そろそろ俺も潮時かなって」
「潮時って、まだまだ早いよ」
「この世界は、時が進むの早いじゃん」
「そう感じるけど、真樹がやめると俺の負担が増えて困るんだよなあ」
「そうだよな~悪いと思ってるよ」
「あはは、冗談だよ。よかったな」
俺は、心から祝福したい気持ちになる。
「ありがとう」
「なぎさちゃんも望んでるんだろ?」
「そうなんだ。変な男に付きまとわれてるしさ」
「うん、やばそうな男だって?」
「そう、だから早く東京を離れたほうがいいなって二人で話し合ったんだ」
「そっか。だったら早いほうがいいよ」
「うん」
「でも、もったいないな~これからっていう時に」
「お前は、上を目指して頑張れ」
「寂しいよ」
「そう言うなって」
「つまんなくなるよ」
「俺がいなくたって、女相手に忙しくて寂しいなんて言ってられないさ」
「あはは、確かに。俺の分も幸せになれよ」
「サンキュ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます