第6話;冒険者

「緊張した~」


街の郊外に転移した私は木にもたれかかって一息ついた


「チェンジ」


そう言ううとメイド服から冒険者の衣装に変わった


「ジョブは知らなかったな、おっ職業欄ちゃんと消えてる・・・教会か・・・嫌な予感がするから行きたくない、そういえば廃村になった村があるってばあやが言ってたな、そこにある教会は村は朽ちても,神から授かったって言われてた教会は奇麗なまんまとか・・・行ってみようか」


移転魔石や移転魔法は移動する場所にマーカーをつけておく必要がある、こっそり館を抜け出して徐々に準備をした、魔石はばあやに頼んだ、半分嘘を言って、お継母から逃げるためと憲兵に保護を頼むからと言って、お金は当主しか入れない蔵に結構あっのでそれを拝借・・・


「しかし蔵に結構冒険に使えるもの沢山あったな・・・お母様とお父様は冒険者してたって聞かないから、おじい様かおばあ様かご先祖さまかな?助かったわ」


腰にショートソードとマジックバック、防御魔法の施されたフード付きマントとバンダナ、レッグウォーマーは口元まで上げて顔をなるべく隠す


「ブーツも軽い!よし!目指せ廃村の教会」


移転先につなげておいた馬の手綱を持つとするっと乗り込み出発した




















廃村の教会への道は結構困難だった


「まず冒険者登録しないと身分証がない」


ボーネット伯爵領からけっこう離れた町ドンファラーに到着した私は、銅貨10枚払って仮入門証を発行してもらって町に入った。

仮入門証は、長期滞在が出来ない、身分をギルドに保証してもらう形で冒険者カードを発行してもらうのだ、犯罪歴は入門時にされるので犯罪者は原則入れないはず、まあ、ぎりぎりの人はいるので犯罪が全くないわけではない、きっと裏の抜け道もあるのだろう。


「おーファンタジー世界!王都は結構近代的な感じがしてたけど、此処はもろファンタジーだー」

 

と叫びそうになったが、田舎者のお上りさんは、絶対目を付けられると思ったので、自重した

門番に馬を預ける所を聞いていたので、そこに預けて冒険者ギルドに向かった。


冒険者ギルドの入り口は開けっ放しになっていたのでそっと入って行ったのだが、中にいた冒険者たちや職員に注目された


(なんで、見てくるの?)


「おう、嬢ちゃん入る建物間違えてないか?」

「此処はおもちゃ屋じゃねえっぜ、ぬいぐるみは売ってないぜじょうちゃん」


(ぬいぐるみって何よ)


脇の方に併設されている居酒屋で昼間から飲んでいる冒険者が居た


「貴方たち昼間から飲んでないで仕事しなさいよ」


受付から女性の声がした


「おっとメアリーに目をつけられたらやばいぞ」


すると皆静かになった


「今日はどういった御用かしら?」

「冒険者登録をお願いします」

「冒険者?あなたが・・・おいくつ?」

「あ・・・16になりました」


(そうか子供に見えるからか)


「・・・・16?」

「あまり食べさせてもらえなかったので小さいですが、16歳です」

「苦労したのね、正式な冒険者になるには年齢15歳以上で、戦闘力確認の試験を受けてもらうわ、見習いなら試験は無いけど町の外の依頼は受けられない、どうする?」

「試験受けます」

「試験内容によってはランクが上がるからね頑張ってね、落ちても見習いで街の中の仕事の斡旋はできるから」

「解りました、」

「じゃぁこの魔道具に手をのせて、自分の名前を思い浮かべてね、本当の名前で無くてもいいわよ、好き名前で」

「名前・・・」


(アイラ・ソーマ)


なんとなく浮かんだ名前を考えてみた


魔道具が光った


「本当に16歳なんだ」


受付嬢が言った、本当に半信半疑だったようだ



(相馬 愛良・・・そうだ前世の名前だ)




名前:アイラ・ソーマ

種族:人族

年齢:16歳

ジョブ:【????】

    【****】


【レベル: 5 】

下記ギルドカード非表示

【体力: 300/300】

【魔力: 2000/2000】

【戦闘力: 50】

【防御力: 500】


魔法適正

光:SSS

闇:S

無:A

風:A

土:A

水:A

火:A


振り分け可能スキルポイント【12568P】

【ハイヒールVol,99】

【苦痛耐性Vol,10】

【精神耐性Vol,10】

【成長Vol,2(継続時間5時間)】

【光学偽装Vol,3(継続時間5時間)】

【物理偽装Vol,3(継続時間5時間)】

【転移Vol,2(ポータル設置要)】

【マリオネットVol,3(継続時間5時間】

【鑑定Vol,10】

【剣術Vol,3】

【体術Vol,3】






「レベルが5ってことは魔物を狩ったことがあるのね」


そう、レベルは魔物を倒さないと上がらない、スキルポイントは生活していれば何かしら溜まるが、経験値は魔物を討伐しないと入らないのよね、レベルが強さのパラメーターではないのは、スキルがあるから、レベルが低くてもスキルのレベルが高いと強かったりする


「はいこの町に来るまでに討伐しました、ところで討伐した魔物の素材買取できますかね、ボーンラビットとかスライムゼリー」

「へぇボーンラビットが狩れるのね、スライムってことは魔法も使えるの?」

「はい、少し」

「試験は明日の10時頃からよ、買取はそこの石のテーブルのカウンターよ」

「狭いですね大物狩ってきたら乗らない」

「あぁ、大物の場合は裏に倉庫があるのでそこに持って行ってもらうのよ、でも獲物持っていないけど?」

「アイテムバックがあります」

「・・・アイテムバック持ち?」

「盗まれることは在りません、使用者限定魔法付きです」

「上級魔法付き?何者?」


「没落貴族って所ですかね・・・家宝だったんですよ・・へへっ」


設定しておいたことを言う、アイテムバックは高額で中堅冒険者がやっと手に入れれるものだった。

そのほか、私の装備のショートソード、装飾は少ないが良いものだいうのは、見る人が見ればわかるものだった。

持ち物は結構値の張るものが多かった、盗んだと思われても何なので、それと腕の折檻の痕を少し見せておいた


受付はそれ以上何も言わなくなった

きっと没落して折檻されて、家の物持ち出して逃げてきたと思ってくれたらいいかな?


「かっ可愛い」

「?」


思ったのと違う言葉が帰ってきた、にへらと笑っただけだし、半分顔隠れて・・・レッグウオーマー下がってた


「こほんっ・・・ジャンさん買取してあげてください、アイラさん冒険者ギルドにようこそ、私はメアリーよろしくね」


メアリーは、買取所の裏の方に声をかけてくれた






買い取ってもらたら数がそこそこあったので金貨3枚になった

中流の宿屋が一泊銀貨3枚なのでそこそこかな?


その中流の宿屋を紹介してもらった、さすがに安い所だと若い娘は危ないらしい、本当は上級に泊まれるお金は持ってるんだけど、なり立て冒険者が泊まったら目立つよね~



「いらっしゃい、1人かい?」

「はい、部屋にお風呂はありますか?」

「部屋にはないね、水シャワーはついてるよ、お湯は別料金だ、いるかい?」

「そっか・・・お湯は魔法が使えるのでいいです」

「朝食はついてるよ、昼食と夕食は別料金だが、宿泊者は割引があるからね、チェックアウトは24時間、料金は前払いだ、途中でいなくなっても返金はしないよ、朝食は6時から9時までだよ」

「解りました、3日、前払いでお願いします、今日の夕食はお願いします、夕方まで休みますので時間になったら声をかけてください」


銀貨9枚とチップ銅貨10枚を渡す、



部屋は2階の階段上がってすぐの部屋だ、受付に近い部屋だった


「思ったより奇麗・・・でもベット硬いな・・・」


マントと装備をマジックバックにしまってベットに横になった

念のため、部屋に結界を張って、ステータスを眺める


「チートだな・・・もう物語は違うものになったよね・・・・」


ふと道中初めてゴブリンを倒したことを思い出した。


「スライムは躊躇なかったけど、人型のゴブリンは一瞬ビビったなぁ・・・本当【精神耐性Vol,10】、すぐにへっちゃらになったわ・・・そのうち人を殺すことがあるのかな・・・それでも平気になったら・・・怖いな・・・さっさといい人見つけて永久就職・・・この世界庶民は専業主婦は難しいか・・・」


ぶつぶつと討伐の時の様子や、これからのことを考えていたら寝てしまったらしく、ドアを叩く音に気が付いて起きた。

見ると部屋は茜色に染まっていた。



「はい、今行きます」


そう答えて装備を着込む、何事があったら大変なので装備は部屋以外着込むことにしている。


「でも、なんかいい所で目が覚めたな・・・もう少しで唇が・・・そうか・・・一目ぼれって本当にあるんだな、もう手の届かない人だけど」


赤くなっていた顔がすっと寂しい顔にになったそして部屋を出た、わたしは夢に出てきたフェルディナンド王子のことを考えていた。















次の日、試験の時間にギルドに到着した私はメアリーの窓口に向かった


「試験の受付ですね、この札を持ってあそこの通路から奥に行ってください、奥に訓練場がありますので」

「解りました」


12と書かれた札を持ち奥に行くと体育館のようなかなり広い空間、サッカーコート1面分位の訓練場があった。

そういえばギルドの裏に左右に大きな建物、その奥にコロシアムみたいな建造物があったなと思った。


「倉庫と訓練場だったんた」

「くすくす、なに?子供がいるなぁ」


気が付くと、周りには私の他に20人くらいの男女、年齢も同じくらいの年の人と大分上の人がいた。


(子供?・・・もしかして私のこと?・・・自分も見た目そんなに変わらないだろうがっ!)



「すごい肉体・・・傭兵あがりだな、最近戦争無いから冒険者に転職するやつ多いよな」


他の方からそんな言葉が聞こえた





「これで全員かな?」


体の大きな半裸に近い筋肉粒々の浅黒い長身の男が入ってきた


「このギルドの副長のギャレットだ、試験はこの順番に行う」


壁に魔法で書かれた文字が現れる


「読めないものはそこにいる助手に聞いてくれ」




①支援魔法試験 No,1から4

②遠隔攻撃試験 No,5から8

③攻撃回避防御試験 No,9から12

④近距離攻撃試験 No,13から16


(ああ、チームのポジション確認か・・・チーム組む気ないからなぁ)



「防御か・・・」

「おい!ちび!足引っ張るんじゃないぞ!」


わたしの事を子供と言った、男の子がへらへら笑って言った、ちょっと良さそうな装備を身に着けている、貴族の子供か、裕福な庶民の子か


「・・・何処にもいるよね、自分を過信して自滅する奴」

「!なんだと!この!」


手を振りかざしてきた

それと同時に始まりのホイッスルが鳴る


四方から魔法攻撃、矢が飛んでくる、矢は先端が丸くなっており痛いが死ぬことは無い、振りかざしたまま魔法の餌食になっている男の子


「うわっ、いてぇ」


数分後攻撃がやむと立っていたのは4人のうち私だけだった。


「何が・・・」


呆然としてる男の子






男の子が手を振りかざしたと同時に矢の気配がしたので、バックステップで回避と同時に剣を抜いて矢を切断、

魔法が四方から来たので魔法障壁を張って防御したのち、魔法を放ってきたところに目掛け氷の矢を飛ばしてその装置を破壊

矢を軽快なステップで回避しつつ矢は切断、1回も攻撃が当たらない状態で試験終了となった。


足元には大量の切断された矢、破壊された魔法と矢を放つ装置


「やば・・・破壊しまくっちゃった・・・」


他の試験も終わっていた、立っているのは近距離試験の傭兵と言われていた男性のみ、皆地面に伏していた、支援系もなぜかしりもちをついている、



「立っているのは2人か、倒れたからと言って不合格ってわけではない、その過程が評価対象だ、アイラは遠距離、ギル(元傭兵)は全て合格とする、アイラはそれ以外の試験を受けてくれ」


壊した装置は取り換えられていた、弁償って言われないようだ



近距離試験の場にはロックゴーレムがいた

狭い物理障壁の施された空間に二人、上には障壁は無い


(上空にジャンプして魔法攻撃してたな、あのギルって人、剣技もすごかった、相手に防御ダウンの魔法使ってたしオールマイティなんだな・・・私は正攻法で行こうかな)


剣を構える、自己流なので正しいかはしらない、



ホイッスルが鳴る、ゴーレムが襲い掛かってきた、素早い動きで避けると一刀・・・ガキン・・・とはじき返された


「硬い!」


大振りでゴーレムのこぶしが目の前をかする


「風圧すごっ・・・どうする」


避けて、ガキン、避けて、ガキン・・・一向に通らない攻撃


「!そうだ」


避けて、ゴリッグリッボコッ


ゴーレムの膝の関節に突き立てた剣、そこから下が体から外れて転がった、それと同時に倒れこむ、すぐ首の後ろに駆け上がると、首の関節に剣を突き立てて・・・ゴリッ・・・ゴロン・・・ゴーレムの首が落ちて、ゴーレムは沈黙した


「ふぅ・・・防御と身体強化無しで倒した!よしっ」


周りを見ると、近距離で戦っていたのは私のみ、皆一撃で気絶していた


「身体強化使っていないのか?」


ぼそっと副長がつぶやいた


また合格者は私のみ、ギルは副長の横で見学、ギルドホールに戻ってもいいのだが、見学してるらしい




粋がっていた男の子は・・・・コテンパンにやられていた、普通の剣が通らないからね~後で気が付いたけど、ゴーレムの胸元にコアが見えてて、それを破壊すればいいだけだったらしい、懐に飛び込まなきゃいけないけどね・・・私のやりからはゴリマッチョな奴がする攻撃らしい・・・力は、水がめ抱えて水くみしてたからな~小さいおけじゃ何往復も必要じゃない?大きい水がめに直に入れてくれば早いし・・・・・・ゴリマッチョじゃないよ!後で副長に大笑いされた。






後は支援魔法

目の前には何故か大きな光る石


「この医師に支援魔法をかけていく渡した杖の宝石が青く光ったら合格だ」


(面白い!幻影魔法)


石の周りに映像が浮かび上がり人の映像が


「この人の勝利を助けるわけですね」


「そうだ」


ホイッスルが鳴る


(幻影の人は竜と戦っていた、いや、いきなり災害級との闘い画像ってハード過ぎない?威圧凄いし)


と思いながら龍には防御率ダウンと睡眠魔法、味方に防御力・攻撃力・回避率アップの支援魔法をかける

竜に睡眠魔法は効かなかった、なので行動スピードダウンは効いた、おっと攻撃受けて怪我、すかさずヒールをかける、

がむなしく全滅した・・・・私が戦ったら勝てたのにな・・・と思ったが言わなかった


「「「「・・・・」」」」


なぜが周りがシーンとしていた


「「「ヒールが使えるのか」」」


「あっそうか・・・やばっ」


そうヒールが使えるのは聖女や聖者・賢者のジョブのみ、幼少期にジョブがわかるとすかさず教会預かりになることが多い、後天的にレベルが上がって他のジョブでも使える人がいるがベテランクラスの冒険者に限っている、16歳の少女が使えるわけがない、聖女じゃないがぎり


「お前聖女か?」

「?聖女?さぁ違うと思いますよ」

「ジョブは?」

「・・・・さぁ」

「?」

「洗礼受けていないので知りません」

「なっ・・・」


皆私の腕の傷や顔の焼けどの痕を見ている


「家族にないがしろにされていたのか?孤児やスラム街の者でもジョブ選定の儀は受けてるぞ」


「あまり詮索しないのが冒険者ギルドではなかったのですか?一応聖女でも教会に報告義務は無いですよね、教会は名目上、聖女は拘束していない自主的に教会に要ると言われてますが、幼少期に拘束されれば何処に行くすべも知らない人間になってしまうと思いますよ、ま聖女じゃないと思いますけど」

(闇魔法が使えるからね聖女は光魔法のみらしいから)



驚かれたが、詮索しないという建前のため、そのままその話はその場では終わった。


その後、私は遠距離攻撃免除なのでギルと見学。


遠距離攻撃は合格者は多かった。



「皆ご苦労だった、合格者は後で掲示板に張り出される、ランクも張り出されるから確認して受付でギルドカードを受け取ってくれ」


「ランク?」

「試験で優秀だった場合や経験多そうなものはランクはDやCから始めれるんだ」

「え?ギルさん?」

「てっきり、GかFからしか無いのかと思ってました」

「お前は何処で師事したんだ?」

「師事?・・・詮索はなしでお願いします」

「・・・パーティを組まないか?」


私はギルさんを見上げた、ポーカーフェイスのギルさん


「すみません、パーティ組む気は在りません」

「そうか、でもあちこちから声はかかると思うぞ、治癒魔法が使える事は貴重だからな」

「そう・・・ですよね」






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