第2-6話

「眼前に迫っていたのは、停車中の電車のようでした。確認しようとしたのですが、今思うと危なかったですね」


 みつるの顔から笑みは消えていた。


「夢を見ていたのかもしれません」


「見たのではなく。見せられたのかもしれないな」


 深い考えがあったわけではない。なんとなくそう答えていた。


「東京駅に寄った後、横浜に行きませんか?」


 少しだけ驚いた表情を見せると、微笑みながら提案した。


「横浜……、横浜ね」


 彼に会うのは気が進まないが、みつるが言うならしょうがない。


 また無理難題を押し付けられそうな予感がするけれど、あきらは不承不承ふしょうぶしょうに同意した。

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