やっぱり邪念ばっかりの新井さん
結果、9回表に痛恨の逆転弾スリーランを浴びた俺は5ー4で宮森ちゃんに敗戦。
マイコ先生のエロ画像は手に入らず、唖然としながら目の前のスタンドにスマホを戻して、エンディングに入る形になった。
「新井くん。お疲れ様。なかなか白熱した試合だったわね」
「いやー、勝ちたかったんですけどねー。あのホームランはさすがはホームラン王って感じでしたね」
「今回のアップデート内容はいかがだったかしら?また楽しめそう?」
「そうですね。ペナントレースモードは、全国のプレイヤーとランダムにマッチされる他に、フレンド5人ともリーグを作れるのがいいですよね。学校や職場の仲間とやればすごく楽しめると思います」
「そうね。是非お友達を誘ってこれからもマイプロを楽しんで欲しいわね。………そろそろ時間みたい。いつもの挨拶でお別れしましょう。……せーの」
「「バイハーイ!!」」
「ハイ、オッケーでーす! お疲れ様でしたー!」
バイハーイが終わり、数秒の静寂の後、ディレクターが椅子から飛び上がるようにして手をパチンパチンと叩き、一気に場の緊張感が解放された。
よっしゃ、終わった、終わった。
そう思っていたら……。
「それでは新井さん、次はこちらにお願いしまーす!」
俺はすぐ隣の別のセットの中に連れていかれた。
その場所は、背後の壁にブルーのテカテカシートが一面に掛けられており、俺はその真ん前に立たされる。
そしてスタッフにマイクを外され、スタイリストが現れ、スタジオの照明の熱で脂ぎった俺の顔を拭うと、パフパフ。
白く丸い粉っぽいあれでパフパフされるとユニフォームの乱れを直され、また帽子を被らされる。
そしてさっき使っていたスマホを持たされる。
するとわらわらと他のスタッフ達も集まりはじめ、何本もの集音マイクが俺に向けられる。
「新井さん、これ読めます? CM終わりのキャッチフレーズになりますので、若干声のパターンを変えて頂いて撮っていきます。途中で間違ったりしても、ずっとカメラは回していますので、どんどん繰り返して下さい。よろしくお願いします!」
ディレクターが俺にそう説明し、カメラとマイクがグッとまた俺に寄り、カメラの上部の赤いランプが点灯した。
俺はカンペにデカデカと書かれた文章を読み上げる。
「プロ野球のシーズンが終わっても、マイプロのシーズンはこれからだ!」
言い終わると、ディレクターがもっともっとと、くるくると人差し指を回す。
その仕草がなんだかイラついた。
「プロ野球のシーズンが終わっても、マイプロのシーズンはこれからだ!」
「プロ野球のシーズンが終わっても、マイプロのシーズンはこれからだ」
「プロ野球のシーズンが終わっても…マイプロのシーズンはこれからだ!」
「プロ野球のシーズンが終わっても、マイプロのシーズンはこれからだ!」
「プロ野球のシーズンが終わっても…プロ野球のシーズンはこれからだ!」
「マイプロの………じゃなかった。プロ野球のシーズンが終わっても、マイプロのシーズンはこれからだ!」
みのりんのお胸は控えめだが、成長するのはこれからだ!
「プロ野球のシーズンは終わっても、マイプロのシーズンはこれからだ!」
ギャル美のお胸はよさげだが、それが手に入るかは俺の選択肢次第だ!
「プロ野球のシーズンが終わっても、マイプロのシーズンはこれからだ!」
ポニテちゃんの大きくて張りのあるお胸を手にするのは間違いなくこの俺だ!
「プロ野球のシーズンが終わっても、マイプロのシーズンはこれからだ!」
「はい、オッケイ! チェック入りまーす!」
ディレクターが俺に右手を上げて、一旦終了。他に何人かのスタッフもモニターの所に集まって今撮影したものを振り返る。
俺はそんな光景を横目に、渡されたペットボトルの冷たいお茶で喉を潤しながら、そういえば今日は移動日だなあと思い出しつつ、腰を回すようにしてストレッチしていた。
途中、邪念が入り込みまくりだったが、それは決して口には出さずに頑張りました。
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