やっと勝てたビクトリーズ

ビクトリーズ7試合目にして球団初勝利!!


ビクトリーズスタジアム14時試合開始


北海道 000 101 000 2


北関東 002 002 00# 4


勝 連城1勝1敗 負 田安1勝1敗 セーブ 岸田1S


本塁打


北関東 柴崎 1号2ラン(6回ウラ)



北関東ビクトリーズが記念すべき球団初勝利。北関東は3回、3番主将の阿久津、4番赤月の連続タイムリーで幸先よく先制する。


同点で迎えた6回には、この日プロ初スタメンのルーキー柴崎のプロ初本塁打となる2ランで勝ち越しに成功。


北関東先発のドラ1ルーキー連城が6回2失点の好投でこちらもプロ初勝利を上げた。


北海道は、先発田安が要所を抑えられず、打線も11安打を放ちながらも拙攻が目立ち、連勝は4で止まった。








「はあ!? 柴ちゃんが決勝ホームランだと!?」


「なんや、うるさいで! 新井くん!!トレーニングしいや!」








「山吹さーん! お邪魔していい?」


「どうぞ」


玄関先で声を掛けると、山吹さんの部屋のドアがガチャリと開いた。


「ごめんね、新井くん。もう少しで晩ご飯の準備が出来るから、もう少し待っててね」


みのりんは申し訳なそうに呟く。


その目線の下には、見慣れない女性ものの靴が2足置かれていた。


そして、部屋の奥から声が聞こえる。


「こんなグッズも買っちゃいました!」


「えー!その選手のを買う? フツー。チョー、ウケるんだけど!」


なんか昼間聞いたような賑やかな声が聞こえるなあ。


俺は恐る恐るサンダルを脱いで、山吹さんの部屋のリビングへと足を踏み入れた。


リビングには、こたつテーブルに座る高身長のポニーテールと、ぺたんと座布団に腰を下ろしてはしゃぐギャルが1名。


俺がやあと声を掛けると、2人はぱっと俺の方に振り向く。


「あ、こんばんは! 新井さん!」


「あらー!2軍のケガしてる野球選手じゃん! チョー、ウケる」






「2人ともよかったね。勝ち試合を見に行けて」


「そーなのよー! ほら、あんたはあたしの隣に座りなさい! 見て見てこれ! 柴崎のホームランを動画に取ったのよ! スゴくない!? チョー、うけるんだけど!」


ギャル美は俺を隣に座らせると、スマホを取り出して、動画を再生し始める。


「ここで打ったらすごいですよね!」


かっ飛ばせ!かっ飛ばせ!しばさき!


かっ飛ばせ!かっ飛ばせ!しばさき!


と応援団の応援歌が入り、隣に座っているだろう山名さんの声が聞こえた。


席の場所は、ベンチの真上辺りのなかなかいい場所のようで、左バッターボックスで構える柴ちゃんの姿。


ピッチャーがセットポジションから足を上げたその初球。恐らくはインコース寄りのストレート系のボールを柴ちゃんが捉える。


打球が上がった瞬間………。


「…あー!」


「…ぎゃー!」


周りの観客が一斉に立ち上がる。


動画もブレブレになり、ガタガタガチャガチャなりながら、ある一瞬を境に、一気にずわわわあっ!っと大歓声だけが聞こえた。


「やったー! ホームラン!!」


「ぎゃー! スゴーイ!!」


2人の声も辛うじて聞こえてるが、画面はぼよんぼよんとはしゃぐ山名さんの胸元にスマホが押し付けられているだけで、最後はただのエロ動画じゃねえか。


ギャル美め。


いい仕事しやがって。




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