ドラゴンさんの子育て日記74

 新聖暦897年 須月の一日


 巣に戻った。王都の竜の祝祭に向かっている街のものたちはまだ帰って来てないようだ。

 我はライラに英雄を祀る祭りの感想を手紙で書くことにした。いつかライラとも色んな祭りに行きたいな。


 新聖暦897年 須月の四日


 今日は我はのんびりしていた。

 子たちが必死に学ぶ横でぐうたらしていたので、ミカガネには「もう少ししゃきっとしなさい」と言われてしまった。でもたまにはゆっくりするのは良いことだと思うのだ。


 新聖暦897年 須月の七日


 今日は劇場にいった。この街の劇場のものたちは我が見たいといったものをよくやってくれて嬉しい。


 新聖暦897年 須月の十二日


 我らの巣の方へとやってくると危険だからと対策をしているのに、やってこようとした無謀なものがいたようだ。

 外で遊んでいたルグネたちが助けたそうだ。流石我が子。

 最近街に移り住んできた一家の娘らしく、まだまだやんちゃな子のようだ。子たちと仲良くなっているのでよしとしよう。しかし好奇心旺盛なのはいいが、無謀なのは困る。

 街では巣に行くのは恐ろしい目に遭うかもしれないというのをもっと広めるために分かりやすいたとえ話や絵本でも作るといっていた。


 新聖暦897年 須月の十五日


 2号の兄からの手紙が届く。学園は今は夏休みというものらしい。ふむふむ、となると、学園に入学したら今頃は子たちも夏休みということか。

 子たちが入学したらどうしようか。子育てのためにそもそもこの場所に留まっていたし。ちゃんと考えないと。


 新聖暦897年 須月の十八日


 我が子達愛い。毎日思っているが、時々こうして文章として書きたくもなる。だって本当に愛いのだ。


 新聖暦897年 須月の二十日


 街まで「竜は悪しき~」の連中が忍び込んで、子供を攫って行ったらしい。どっちが悪だと言いたくもなる。我とラオでさっさと助けに行って、ついでに国境を越えた先にあったそのアジトはつぶしておいた。

 きんきらきんに連絡はしたが、村の子供に何かあっては困るのでさっさとやった。


 新聖暦897年 須月の二十七日


 きんきらきんからの手紙の返事はまだなので、直接王都にいって説明した。きんきらきんは少し頭を抱えていたが、どうにでもするといっていた。

 国際問題にかかわることらしい。ただ個人的にはよくやってくれたと言われた。それにしても「竜は悪しき~」の連中は何を考えているのか。

 今回アジトにいた「竜は悪しき~」の連中は全員殺してきたので(捕まってたのは適当に逃がした)、これを機に大人しくなってくれればいいが。


 新聖暦897年 須月の三十日


 今日は読書を沢山した。

 あと子供が攫われたのもあって警備が益々厳しくなったらしい。しかし人の中にも悪い奴はいるから何かしら事件が起こることはあって、面倒である。



 新聖暦897年 摩月の四日


 街に下りて竜の道場をちらりと見たら母君の友人以外に竜が増えてた。いつの間に増えたのか。

 母君の友人その2らしい。

 とても楽しそうにしてる。我が覗いてたのを見つけて、「こっちにきてシルビアちゃんも何か参加しましょう」とか引きずり込まれた。その2はとても強引だった。

 なんで、我が、とは思ったが、そこそこ楽しかったからよしとしよう。


 新聖暦897年 摩月の八日


 それにしても街は街としての開拓が進められ、竜も増えており、我がルグネを拾った頃と比べて変わったなと思う。凄い変化である。村に元から住んでた連中には我が此処に住んでいるからだと言われたが、それを言うならルグネに出会えたからだ。うむ、ルグネのおかげでこんな風に良い変化が生まれているのだ。

 そう思うとルグネの事がより一層愛しくなった。抱きしめたら恥ずかしがってたが、それでも愛いものよ。


 新聖暦897年 摩月の十三日


 移り変わる街のことを本としてまとめるらしい。我にもいんたびゅーなるものをしたいらしい。楽しそうなので了承した。

 色々聞かれた。素直に答えた。ラオが補足してた。我の答えは短かったりするらしい。ラオがいてくれてよかった。


 新聖暦897年 摩月の十七日


 今日は子たちは「竜の道場に誘われてる」といって、母君の友人たちの元へ向かった。母君の友人達が子達を見てくれているので、我はラオと仲良く過ごした。

 ルグネたちはまだ子供だが、大きくなっていっている。我の手もそのうち離れていくのだろう。寂しいが、嬉しい。うーむ、子育てとは不思議なものである。


 新聖暦897年 摩月の二十日


 きんきらきんから手紙が届いた。「竜は悪しき~」とかほざいてた連中は隣国でつぶされようとしてるらしい。そこそこ大きな勢力らしいが、隣国のトップは竜と敵対したいわけではないらしく、つぶすことを決意したらしい。

 我らがさっさと一つアジトをつぶしたから危機感を覚えたようだ。隣国自体をつぶされるのではないかと。やろうと思えばできるが、やる気はないのだがなと思った。


 新聖暦897年 摩月の二十八日


 今日は読書日和である。沢山の本を読んで、物語の舞台となった場所も行きたいリストが沢山出来た。

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