ドラゴンさんの子育て日記㉝

 新聖歴892年 茄月の一日


 我、ライラが居なくなるとやっぱりさびしいのである。ライラに子が生まれたら会いにいかねば。そしてライラの子は我の子同然なのだからライラの子のことも守れるようにしたいのである。

 ラビノアとシノウールも、ライラの子が生まれれば弟か妹が出来ることになるのだ。家族が増えるというのをルグネを拾うまで考えていなかったけれど、家族が増えるのは楽しい。まだ、我が子達は子供だけれども、いつか、我が子たちにも子が出来るのだろうか。それを思うと我はわくわくする。


 新聖歴892年 茄月の七日


 ルグネも、ラビノアもシノウールも、竜の祝祭を楽しめたといっていた。村では竜の祝祭の反省会をしていた。

 来年は今年の反省を生かしてもっと楽しくするんだといっていた。我も来年が楽しみだ。


 新聖歴892年 茄月の十一日


 祭り、というものは楽しいのを我は初めて今回知った。王都でも祭りをやるといっていたから今度家族皆でいってみようかと思っている。ライラの様子も見に行きたいし。


 新聖歴892年 茄月の十五日


 ラオは王都以外にも沢山の祭りを教えてくれた。ラオは本当に人の世に詳しい。よく、人化して人の世界をうろうろしていたからそれで知っているのだと。ラオに聞いた楽しい祭り、全部、我行きたい。そういったらラオが一緒に行こうといってくれた。時間を見つけて色々なところに行きたいと我は最近思う。家族と一緒にどこかに出かけるの、とても楽しそうだから。

 家族とだから、より一層楽しいのだ。


 新聖歴892年 茄月の十八日


 ミカガネと母君と会話を交わす。子達は、ラオと父君が見てくれている。子達の可愛さをめいいっぱい語る我を、気づけばミカガネと母君が生暖かい目で見ていて我ちょっと恥ずかしくなった。

 写真まで持ってきてわざわざ語ってしまったからの。ついでにラオに関することもぺらぺら喋ってしまったからの。

 ……なんかあとから父君からはラオが滅茶苦茶我のことをいっていたと聞いて、我は我で恥ずかしくなった。


 新聖歴892年 茄月の二十二日


 来年のことを考える。来年になったら、ライラの子も生まれているだろう。そしてルグネも五歳。魔法が使えるかどうかを調べることが出来るのだ。来年が楽しみだ。まだ、今年全然あるけど。先のことを考えるのも最近、楽しい。


 新聖歴892年 須月の一日


 竜が一匹やってきた。名前を覚えておらぬが……見たことはある。我がラオと番になって、子が生まれて、人とも仲良くしていることに爆笑しておった。なんか腹立ったからそやつを一回しめた。


 新聖歴892年 須月の二日


 ラオはそやつの名前も知っておった。我は全然覚えておらぬ。なんか我とラオの後に生まれた竜らしい。我とラオにそこそこ話しかけていたらしいが、我の記憶にはなかった。


 新聖歴892年 須月の五日


 この前来た竜が写真欲しいとかいうから一つやった。我らの家族写真である。自慢も含めてである。我の家族は自慢で我にとって愛しい家族なのだ。

 我、我の愛おしい家族たちのこと、幾らでも自慢できる。


 新聖歴892年 須月の十日


 ルグネもラビノアもシノウールも写真を見るのが好きだ。我も見るの好きで、我がよく見ている所に子たちがきて一緒に見ているとかよくある。ちなみに、ラオはよく我の写真を眺めているらしいと、ラビノアとシノウールがいっていた。

 写真ではなく、本物に構えというのを交換日記に書いたら抱きしめられた。


 新聖歴892年 須月の十四日


 子育て日記とラオとの交換日記は中々楽しい。こうして子たちと過ごした記録や番とのやり取りをこうして残すのもいいものだ。いつか、もっと未来に読んだらどんな気持ちになるだろうか。

 その未来でも、我は楽しく家族たちと一緒に居れたらと我は思う。うむ、少なくとも子達が巣立ちしたとしてもラオと仲良くやっていたいのである。


 新聖歴892年 須月の十八日


 ライラの手紙で人の世では、未来の自分に向けた手紙を書いたりもするらしい。我、書いてみようかな。我はまだまだ生きるだろうから、書いてみて読むの楽しいと思うのだ。

 どこかに埋めて掘り出して読むとかもあるらしいのだ。今度、家族みんなで未来の我たちに向けての手紙書いてみようか提案してみようか。


 新聖歴892年 須月の二十五日


 未来への手紙はまだ書かないことにした。もうちょっと子たちが文字を書くのが出来るようになってからがいいだろうとなったから。ライラもその手紙書きたいといっていたし。だからこそ、ライラが一度こっち来てからが良いと思う。楽しみが、どんどん増えていく。


 新聖歴892年 須月の三十日


 ルグネが久しぶりに体調を崩した。我、凄く慌てた。医者に見せたら最近人の世で流行っている病気らしい。薬がいるらしい。その材料聞いたから我、捕りにいく。


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