ドラゴンさんの子育て日記⑱
新聖歴890年 須月の一日
きんきらきんが帰るそうなので、その時にきんきらきんにライラ以外の雌と交尾をしたら許さないという事とライラを独り占めするなと言っておいた。竜体でである。
人型よりも、竜体で脅した方が効果が大きいとラオとミカガネに言われたからである。効果はあった。きんきらきんだけじゃなくてきんきらきんについてきたもの達まで怯えていた。満足していたけれど、ライラに思いっきり怒られた。
新聖歴890年 須月の七日
村の我とラオの像が完成したらしい。見にいったらすごかった。どのように凄かったかを伝えたいのだが、こうとりあえず凄かったとしか我には言えぬ。でっかくてな、我を忠実に再現しておった。ちなみに竜体の我とラオである。
ラオがそれを見て「欲しい」と騒いでおったら、村人が小さな我の像をくれた。小さなものまで作っておったのかと驚いていたら、これから我とラオの小さな像を土産物として売りたいらしい。ふむ? よくわからないが、それでお世話になっている村が助かるならと許可した。
新聖歴890年 須月の十二日
ルグネとラビノアとシノウールは仲が良い。愛い。我は天国にでもいるのではないかと思うほどに幸福を感じていた。
ラオも同様だ。我とラオは、ミカガネ曰く親バカらしい。子供を可愛がって仕方がない親を言うらしい。しかし子を可愛がるのは当然であろう?
新聖歴890年 須月の十八日
ルグネに魔法を教えてあげたいと我は考えている。我らとルグネは確かに違うけれど、友人のように魔法が使えれば我らと同じような事が出来るのだ。人は。だからこそ、ルグネには魔法を使えるようになってほしい。
でも人の子は何時頃から魔法が使えるようになるのかもわからぬ。魔法を使えぬ人の子も多いと聞くし、我ら竜には人の事はわからぬ。人であるライラも魔法を使えないのでよくわからないと言っていた。
新聖歴890年 須月の二十二日
人の中でも偉い分類になるきんきらきんに相談してみてはどうかとライラに言われた。
それもそうかという事で手紙なるものを書いてみた。我は日記は書いているが手紙というものは書くことはない。だから試行錯誤して書いた。
ラオが「俺は手紙もらったことないのに」と我から手紙をもらった事がない事を落ち込んでいた。
近くに居て番であるというのに手紙を出す必要があるのか、と思った我である。
新聖歴890年 須月の二十七日
手紙はライラがきんきらきんの元へ出してくれた。そしてラオが俺も欲しいと嘆いていたので、ライラが交換日記をしてはどうかといわれた。我が友人とやっていた奴である。
こんなに近くに居るのにやるのかと思ったが、ラオがしたいそうなので交換日記をする事にした。
新聖歴890年 摩月の七日
交換日記を始めた。ラオはまめだ。事細かに日記を書く。我が書いたものをニヤニヤしながら読んでいた。あと書いてあるのが我の事ばかりというのは少し恥ずかしいのであるが。
新聖歴890年 摩月の十三日
ラビノアとシノウールが飛ぶ練習をしている間、我とライラでルグネを構い倒した。
ルグネは自分は何故飛べないのだろうって悲しそうな顔をするから、悲しみを吹き飛ばすぐらい楽しませようと思ったのだ。
ルグネは、竜ではないけれど、我が腹を痛めて生んだ子ではないけれど、でも我はルグネの事を大切な子の一人だと思っているのだ。それをルグネに実感してほしい。
新聖歴890年 摩月の十八日
ラビノアとシノウールはルグネよりも年は下だが、ドラゴンであるから成熟で、か弱いルグネの事をよく見ている。例えばラビノアとシノウールが出来る事を、ルグネは出来ない。しようとしたら死んでしまう可能性があるから、皆で見守る。危ない事をしようとしたらしてはいけないとちゃんと言って、止める。
人の子の子育ては大変だけど、皆でやっていると楽しい。何より我はルグネの事が可愛くて、愛しくて仕方がないから何をしようと許せるのだ。
新聖歴890年 摩月の二十二日
ラオと一緒に二人でお散歩をした。時々ミカガネが二人の時間を作ってきてと言ってくれるのでのんびりできる。本当にミカガネが居て助かる。
新聖歴890年 摩月の二十五日
ラオとなぜか我が子達に番を作ったらという話になった。ラオが「自分を倒せないような輩は認めない」などと言っていた。そんなことを言っていたら中々番が出来ぬではないかと言ってしまった。
我ならと問われたので、「我は強さ以外でも我に認められる何かを持っていれば良い」と答えた。隣で話を聞いていたミカガネが、子供の番になる人は大変ですねと呆れた声を上げた。
新聖歴890年 摩月の二十八日
本当に、この前子の番の話をしたけれど子竜たちはともかく、ルグネは人の子であるから番が出来るのは早いだろう。もしかしたら番を作らないという選択もあるかもしれないけれど、そう考えるとルグネはどんな雌と番うのだろうかとわくわくした。
それに我はラオと番ったのが遅かったけれど、竜の中でも早いものは盛竜になってすぐに番うのだ。もしかしたらラビノアとシノウールもと思うと、妄想が広がった。
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