第11話 それがし、菓子が好き

 我が家は家族の高齢化が進んでいるせいで、昔ならバリバリ食べていたポテトチップや煎餅、アラレの類をめっきり買わなくなりました。ごくたまに味わいたくなっては買うものの、実際に口にするとほんの少量でギブアップ。身体が極端な塩気や油っこさを受け付けなくなってるのです。


 その上、パサパサと乾いた物を飲み込む力も弱ってる為、下手をすると激しく咳き込む羽目に。嚥下えんげ機能の低下は悲しい。


 後期高齢者の母親が同じ事をやらかしたら命に関わると知って、ここ最近ではあんがメインの和菓子か、喉ごし柔らかな洋菓子に傾倒。プリン、シュークリーム、ショートケーキなど安価なコンビニスイーツで間を保たせております。



 煙草にしろお菓子にしろ、嗜好品を気兼ねなく楽しめるのは身体が健康な内だけ。歳を取れば内臓その他にガタが来るし代謝も落ちる。要するにうかつな物を身体に取り込めません。


 若い頃と同じ感覚で暴飲暴食をすると、たちまち健康を害するので辛いったらない。自分も加齢の影響でだいぶ太りやすくなりました。酒も煙草もやらないし間食も控えてるのに何故? 老いの強襲と言う奴かしらん。


 こうなるとローカロリーのお菓子が欲しくなりますが、そういった特殊な物は健康食品のカテゴリに入るせいか、概ね高価。



 いつもはどこで妥協点を見出だすかと言うと、テレビ番組のスイーツ特集です。NHK-BS2でたまに放送しているシリーズ『スイーツマジック』が好きでよく観てるのですが、そこに登場する美味しそうなケーキと、パティシエの超絶技巧をひたすら注視。それだけで胸一杯と言うか、大体の甘味欲が治まります。


 観ている際はブラックコーヒーを飲むか、たまに食パンを一枚食べるだけ。鰻屋うなぎやの蒲焼きの匂いでご飯を食べる様なものですね。落語的ダイエット。



 そう言えば、まだ世の中にコンビニが浸透していなかった一九七〇年代、自分は高級アイスクリーム「レディーボーデン」ジャンボサイズの一気食いに憧れていました。そういう子どもは多かったはず。当時のCMソング「れでぃ~ぼ~でん~♪」(作曲・大野雄二)も流行りましたし。


 ただ、自分はお腹を壊しやすい体質だったので、大人になって経済力が付いてもその夢は果たせず。レディーボーデンも日本市場から一時撤退したり味が変わったりで、やがて欲求は遠のいていきました(その後、ロッテアイスがボーデン社と契約を結んで販売再開)。


 現在は家計及びダイエット指数に余裕がある時のみ、ちょっぴり贅沢して「ハーゲンダッツ」の一番小さいカップアイスを買って食べています。


事程左様に、お菓子の選別とは難しい。



 ところで、長い人生の中で一番印象に残ってるお菓子は何かと問われたら、江崎グリコの「ペロティ」または「ペロタン」。特に流行りのアニメキャラクター絵がプリントされていたバージョンを推します。


 ペロティは円形の棒付きチョコレートでミルクチョコとホワイトチョコの二層構造。ペロタンは小さめサイズの二本セットでいちごチョコとの二層構造です。基本的にはペロペロ舐めるんですが、途中からバリッと噛み砕いてガジガジと一気に食べきるのが快感。「お行儀が悪い!」と注意されようと、これだけは止められませんでした。


 自分の子どものころは『ドラえもん』『あさりちゃん』『おはよう姫子』といった当時の人気漫画のキャラがプリントされてましたが、最近のペロティは立体モチーフになってて、キャラクターのバリエーションも少ないみたいですね。

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