第12話 黒猫のミーシャ。

 少し警戒しながら、おばあさんの家に入っていく子猫を優しくおばあさんは見守ります。


「ミャーン。ミャーオーン。」


「おまえさん、お腹を空かせているのかい?」


「ミャーオーン」


「そうかい。ちょっとお待ちなさいよ。すぐに用意するからね。」


おばあさんは深いお皿に牛乳をいれ、パン

を少しちぎりお皿にのせると子猫にあたえました。


「ミャー。ミャーオ。」


子猫は近寄り、急ぐように食べます。


「おやおや、お腹を空かせていたんだね。もっと早く気づいてあげればよかったね。すまないね」


「ミャーン。」


「ゆっくりお食べ。あたしは取ったりしないよ。おかわりも沢山あるからね。」


「ミャーン。」


子猫はとても嬉しそうです。


「お前さんの名前はなんて言うんだい?」


「ミャーン」


「そうだね。ミーシャ。今日からおまえはミーシャでどうだい?」


「ミャー。ミャーオー。」


「そうかい、気に入ったかい?よろしくね、ミーシャ。好きな時にうちにおいで。いつでも家に入れてやるよ。でも、今日はもうお家へお帰り。お母さんがきっと心配しているからね。」


「ミャーン」


おばあさんにミーシャと名付けられた子猫は、返事をするように、おばあさんの足にすり寄りました。


「まあ、可愛いね。またおいでね。おばあさん1人はこの家は大きすぎるんだ。歳をとると、たまに寂しくてね。遊びに来てくれたら嬉しいよ。」


「ミャー。ミャー。ミャーン。」


また返事をするように足の間を行ったり来たり。


「ふふふ。じゃあね。きをつけてね。」


「ミャーオ」



おばあさんが、ドアを開けると仔猫は走って行きました。




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