知らない記憶がっ!

足がもつれて転んでしまった。

私が?そんな馬鹿な。

「オラァ!」

踏みつけが後頭部を捉える。

「ぐぅふ!」

追撃を回避すべく横転し、体勢を立て直す。

「肝心な所で転ぶ魔王とは無様もいい所だ。

石でも落ちていたかな?」

挑発的にそう言った。

「……何をしました?」

この男がやった。根拠なき確信があった。

「お前は走り出す前に足を引っ張られて転んだだけだ。」

……馬鹿な。そんな記憶……クッ!

頭が痛み、転倒の理由が頭に浮かんだ。

何故だ?さっき迄こんな記憶無かった!

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