第71話 治療
私は、戦闘後の死傷者の多さに恐怖し、まともに動けなくなった。
25000の敵兵、15000が蒸発したり潰れて戦死、3000が重傷5000が軽傷、無傷なのは王の近くに居た衛兵2000のみだった。
南部王国の国王、名はゼンドと言ったか、白旗を抱えたまま呆然自失状態、筆頭家老が王の代わりに、無条件降伏と賠償の話を、ロクロウ殿と話し始めた。
「神が度々降伏を勧められたにも拘わらず、このバカ王が·····」
筆頭家老が、弁解っぽくブツブツ言って居る。
マンバ様とクミ様、それにセノメ様が、重傷者の治療を行っている。
マンバ様が、素早く治療した死人かと思われた100人が、元気に立ち上がっていた。
クミ様は、手足が吹き飛ばされ、痛みに呻き転げ回る兵達に近付き、治療して居る?何ぃ!!無くなった手足が生えて居るような?
セノメ様も手早く傷の手当を繰り返しいる。
奇跡を目の当たりにした、2000の近衛兵達が拝む様に平伏した。
どれ程努力すれば、私もあんなに成れるだろうか。
「3人で7000以上の治療は、いささか疲れた、軽傷者は雑な治療になったが、手遅れにならず、生きて居た者は全員回復させた、クミが手早く治療したお陰ではある、わし等の倍以上を治療して居った」
疲れて一息入れて居ると、近衛がお伺いに来た。
「マンバ神様!!負傷兵に、食事を取らせてやっても宜しいでしょうか?」
「何を食わせる?」
「はっ?携行食·····魚の干物と炒り豆です」
「回復したと言え、死にかける程血を流し弱って居る、その食い物は許可出来ん!!」
「はぁ·····」
「約1万か·····大鍋10個に水を入れ、火に掛よ飯を作ってやる!!」
「はぁ?」
「
「此方です!!」
干し大根に葉野菜、大豆かな?
「大鍋1つにこれだけの量ぶち込め、野菜は刻んで入れろ!!」
近衛は優秀な人材を揃えて居るようじゃ、テキパキ動きが気持ち良い!!
「小麦粉が有る、空いて居る大鍋に小麦粉を入れ、氷雨で水を降らせ練る、大鍋3つ用意すれば足るだろう」
「お前達はこの大鍋を持って付いて来い!」
「大鍋10個グツグツ煮えて居る、鍋の上に架空袋から肉の塊を出し、鎌鼬で切り刻み鍋に投入、塩を一握り入れる·····味はこんな物か」
「鍋を持ってきたお前達、よく見ておけ!!この練った小麦粉をこれ位ずつ10個の鍋に均等に入れよ!!入れた団子が浮かんで来たら食えるぞ!!!」
「「「「「有り難う御座いました!!マンバ神様!!!」」」」」
団子汁スイトンなど、料理にも成らんが、久し振りの暖かい食い物だったそうで、大喜びで食って居る、大鍋10個の量などあっと言う間に1万の兵の腹に消えた。
「食った後は安静にして居れ!!食って寝るのも治療の内じゃ」
わしだって、傍若無人ばかりでは無いぞ、細かい細工で人心を掴む!それで無いと妖怪の大王などなれん!!
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