33

あれから宗田くんは何度か図管へ図面を借りに来た。


ガラス張りの扉で誰が来るか見えるので、宗田くんの姿が見えるたび、席を立ってみたり奥の棚の方へ言ってみたり書類を仕分けしたり。

何となくしゃべりづらくて、受付はすべて可憐ちゃんに任す。


そうやって自分から関わらないようにしているのに、宗田くんと可憐ちゃんが談笑してる姿を覗き見しては、チクリと胸が痛む。


こう見ると、可憐ちゃんとお似合いな気がするんだよね。

宗田くん何気に背が高くてかっこいいし。

可憐ちゃんは文句なしに可愛いし。


宗田くんの隣に私なんて並んだら、見劣りしちゃうよ。


そんなことをぼんやり考えていると、可憐ちゃんに覗き込まれた。


「真知さん、宗田さんと何かありました?避けてません?」

「いや、何もないけど?」


可憐ちゃんは可愛らしく首を傾げる。

意外とするどいな。

でも、可憐ちゃんがそう思うくらいだから、きっと宗田くんも気付いてるに違いない。


何かあったかって、宗田くんに告白され続けてるのに逃げてるなんて言えるわけないよ。

それに、こんなに逃げてたら、そのうち嫌われてしまうよね。

それはわかってるんだけど、私の気持ちが全然追いついてくれない。

本当にバカだなと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る