28
駅近くのコジャレた居酒屋に入る。
平日の早めの時間だったので予約なしでも個室に案内された。
とりあえずビールで乾杯し、もちろん私はウーロン茶だけど、気の置けない人との飲み会は安心する。
「皆さん同期なんですか?」
「そうだよ。」
可憐ちゃんの問いに、小田くんが身を乗り出すようにして答える。
「素敵ですねぇ。私、同期と仲良くないですもん。」
可憐ちゃんがうっとりして言うと、小田くんが親指で宗田くんを指しながら言う。
「こいつが仁科のこと気にしてるから自然と仲良くなった感じ。」
それに対し、宗田くんはひきつった笑みを浮かべた。
小田くんったら、何を言い出すんだ。
誤解されるような言い方はやめてほしい。
「わかります!私も真知さん気になりますもん。」
可憐ちゃんが大きく頷いて私を見た。
キラキラした純な瞳が眩しい。
「真知さん素敵ですよね。」
「…は?」
突然の褒め言葉に、ポカンとしてしまう。
「いやいやいや、可憐ちゃんの方が素敵でしょ。可愛いし女子力高いし人当たりも良いし、大人気じゃない。」
「何言ってるんですか。真知さん美人だし優しいし気が利くし。大尊敬ですよ。」
私と可憐ちゃんが褒め合いをしていると、小田くんがボソリと言う。
「何か、女の褒め合いって裏がありそうで怖くね?」
小田くん、マジ失礼だし。
ドン引きだし。
私がどつく前に、宗田くんが小田くんの頭を叩いた。
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