こじらせ女子の恋愛事情

あさの紅茶

こじらせ自覚症状あります。

01

扉の前に設置されているカウンターの奥に、デスクが二つ並べられている。

図面管理課で受付業務をする私と後輩の早川可憐ちゃんのデスクだ。

その奥には他の事務作業をするメンバーのデスクの島があり、更に横奥に広がる大きな棚には、膨大な量の図面が保管されている。


私たちは、他課から図面を借りに来た人の受付業務や保管作業を主としながら、記録票と呼ばれる書類の仕分けなど紙媒体を扱う仕事をしている。


「紙」の管理をするので空調は完璧だ。

過ごしやすいことこの上ない。

現場作業の人が図面を借りに来つつ涼んでいくくらいだ。

だけどデメリットもある。


「いたっ!」


記録票を仕分けする可憐ちゃんがふいに声を上げた。


「はぁ~、紙で手を切っちゃいました。」

「大丈夫?絆創膏いる?」


そう、大量の紙を扱うので手を切りやすいのだ。


「親指と人差し指の間を切っちゃいました。」

「それ、めっちゃ痛いよね。しかもそういう場所って治りも遅いし。」


しゅんとする可憐ちゃん。


可憐ちゃんは名前の通り可憐な子で、とっても可愛い。

女の子らしくふんわりとした雰囲気で、髪もゆるふわに巻いていてネイルもばっちり。

だけど化粧はナチュラルですれ違うときにほのかに甘い香りがする。

同性の私がドキッとするくらいだから、男性にはもちろん人気だ。


図面管理課の顔ともなる受付カウンターの前に可憐ちゃんが座って、訪問者に「おはようございます」とニッコリ笑顔付きで挨拶するもんだから、男性たちのデレデレ感半端ないのは必至だ。

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