第56話 走馬灯 2

 小学生のころの、とある日。

 僕はパンツを取られて正座させられていた。

 狂ったように囃し立てるクラスメイトたちが、丸めた新聞紙で殴ってくる。



 痛くはない。

 全然痛くはない。

 ただ、悔しかった。



 その翌日、校舎裏で正座させられた。

 パンツもズボンも履いてたいけど、靴と靴下を取られて裸足だった。


 目の前には、給食のトレーに乗った生ゴミ。

 足で頭を蹴られ、突っ伏して、強引に口に入れられた。



 無視とかいじりというレベルではなかった。

 僕は、直接の対象として、攻撃を受けた。



 転校と、中学・高校への進学と、環境の変化ごとに、それは少しずつ変わってはいった。

 マシになった、というべきか。



 だけど、おびえるような目で、あたりを伺うような生き方をしている男子生徒が、皆から受け入れられるわけもなく。


 僕は常に一人だった。

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