決着

 クマ太は人生何度目かの絶望を味わっていた、弱い自分に、そして思った以上の人間の強さにだった



 自分は周りのモフと比べて優れているという自負をもっていた、それはもちろん間違いではなかったが、しょせんモフ達と比べてのこと、彼は自分よりも下がいると安心し思い上がってしまっていた


だが何度も人間との衝突でいやおうなく自分の非力さを思い知っていた




 認めたくなかったが、認めざるを得ない、人間はモフ達も強かったのだ、だが諦めるわけにはいかなかった、それは女王のため



そう女王のためと思いあきらめなかったが、敵のゴーレムを見て心が折れかけてしまった


「こっこんなの無理クマ・・・」



 人間でもモフよりも数倍大きかった存在であったが、その人間よりも数倍大きなゴーレムを見てクマ太がそう思うのも無理はなかった、そして



(コン太あとは頼んだクマ、女王を連れてまた新しい場所でモフ国を一から作っていってクマ)


 クマ太がそう思い、足を動かしかけたその時であった



「我々の住処を壊す侵入者だ、命をかけて敵兵を足止めしろ」



 モフ町のほうからそう聞こえてそちらを見ると、今までその辺をフラフラしていた働かない一般モフが集まっていた、その数、数百はいるであろうか



 その指令を聞いたニートモフはいままで見たことないような目をして一斉に敵兵に群がっていった、それは攻撃など考えていない素手で相手に絡みつくという戦法というものを一切無視した単純な行動だった



「うおおおお、なんだこいつら離せ!」



 そうして最初の数匹は斬られていったニートモフ達だが数でおして敵兵の手足などにからみつく、それは引きはがされようが踏みつけられようが、一部体を斬られようが纏わりついていった、今まで見たことのないニートモフの姿に、またその異様と思えるような自己犠牲を目の当たりにしクマ太は一瞬声を失った



「こいつら手足を切ってもくっついてきやがる!!気持ちわりーーー」



 そうしてある程度敵兵にモフ達が纏わりついた所に



ドン!!!



 一瞬の閃光



 一人の兵がくっついていたニートモフもろとも吹っ飛ばされ、そして吹っ飛ばされた所で



バキッ! ぎゃーーーーーーーーー



 敵兵の悲鳴が聞こえた



 そしてまた閃光がはしりニートモフもろとも次々に兵が吹っ飛ばされていく



「なっなんだこれは!?」



 貴族隊長が一瞬あっけにとられてしまう、自分の最高魔法のゴーレムを出し詰めにいった所で正体不明の攻撃



 しかもモフ共もろともの攻撃に戦慄する、こいつは本当に敵なのかと、だが兵が数人やられた所でその正体が判明した



「かなりやられちゃったみたいだねクマ太」



 そう言って現れた姿は、身長184cmの超ロングの髪に鋭い切れ目をした女だった



「女王!?なぜここへ!早くコン太とお逃げ下さい!!!!!!」



 クマ太は焦りすぎて語尾のクマを忘れるほどであった



「いやーーここまでやられて黙って逃げられないよ、まあとりあえずクマ太ありがとね、あとは私がやるよ」




 周りの人間たちは驚きその光景を見ていた、モフ町に女王がいたこと、そしてそれが人間だったこと、さらにその圧倒的な強さに



「そしてクマ太!私はモフ達を1モフ1モフ弱く可愛くつくったけど、みんなで戦えば強いはずだよ、まあとりあえずこんな感じで今後頑張ってみてね」




 そういうとニートモフ達はさらに自分の身を顧みず兵達に纏わりついて、また一人一人と兵達は女王のその速さ1fの、1fタックルに吹っ飛ばされ、吹っ飛ばされた先で各個撃破していった




「馬鹿な馬鹿な馬鹿な!!こんなことがあるはずがない!!」



 その光景を見てニートモフに纏わられながら貴族隊長がそう吠える



「隊長!!気を付けてください!」



 その言葉に振り返ると女王と呼ばれる者から狙われていることに気付く



「ゴーレムやれ!」



 女王の前にゴーレムが立ちはだかるが、そんな遅い動きに女王の邪魔をすることはできなかった



(ゴーレムでの魔力消費がでかい、やるなら次の攻防にかける、だがもともとこの速さの敵相手に魔法攻撃なぞ当たらないだろうが)



 そうして貴族隊長は全身と剣に魔力を纏わせ身構えた、間合いに入ってきた瞬間に斬るつもりだ、そうして身構えていると女王が歩いて近づいてくる、そうして間合いの少し外で重心を低く構える



 どちらかが間合いに入るその一瞬で攻撃が決まるであろう、ゴーレムなど貴族隊長もすでに操作を放棄して木偶と成り果てていた



 そうして一瞬女王が動く



「ちっフェイントか!」



 反応してしまった、貴族隊長はそのまま一歩踏み込み最大リーチの剣を相手の顔面へ突きを放つが


剣の突きへのさらにしたから女王の1fタックルが炸裂する



「ぬおおおおおおお」



 魔力強化により他の兵よりは吹っ飛ばなかったが数メートル押されそして倒される



(だが相手も一緒に倒れてきている!これでは攻撃はできまい)



 と貴族隊長が思ったのもつかの間、貴族隊長の剣を持っている右腕に女王が足をかけ



 そして




「ぬああああああああああああああああああああああああああああ」




 腕を全身で引っ張られる、それは初めて味わう痛み



 それは 「寝技」 



 寝技を生まれて初めて食らわされた感想であった



「さあ隊長さん、このまま続ける?それとも帰る?」




「誰が帰るか!あああああああああああああああああああああああ」




 耐えがたい苦痛おそらく他の兵達はこうして落とされていったのであろう




 そうして、女王はこれ以上やっても無駄と考え、貴族隊長を絞め落とし、そして他の兵はそれを見て投降していった

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