第81話 スキルは神の気まぐれか


「後、職業ですが、数値がすぐに10になっていて転職できそうなのですが、大丈夫ですか?」

俺は聞いてみる。

「ああ、そうか・・大量の経験値を得たので初級職なんかはすぐに上位職になるね。 大丈夫だよ、ゆっくり選んでくれたまえ。 私も助言できる限りは助言しよう」

・・・

・・

アニム王にいろいろ聞きながら俺は職を選択。

運び屋→隠密に転職。

魔法使いもいいかとも思ったが、柄じゃなさそうだしそれはやめた。

ただ、MPがあれば生活魔法は誰でも使えるそうだ。

そして、アニム王に少し教えてもらった。


転職を繰り返しても、ステータスはほとんど上昇はない。

じいちゃんの指輪の効果・・・やっぱ、微増か。


テツ

レベル:34

種族 :人

HP :450/580 

MP :210/410  

力  :493     

防御 :470     

敏捷 :672     

技能 :398     

運  :71      

職業 :隠密5


固有スキル 

生活魔法5

罠解除1

軽歩行10

忍術10

鑑定8

アイテムボックス10

気配察知☆

自動回復☆

祝福☆


それにしても、結果的には凄まじいステータスだと思う。

アニム王のおかげだ。

スキルの☆印は、マスターした意味らしい。

スキル10がしばらくすると変化するそうだ。

また、スキルはあまり気にしない方がいいという。

確か、スキルは神の気まぐれだったっけ?

・・・

・・

ようやく俺のステータスチェックも終わり、アニム王に報告。

本当によく待っててくださった。


「それでテツ、満足できたかな?」

「はい、これほどのレベルになるとは思いもしませんでした。 ありがとうございます。 以前、アニム王がおっしゃっていた基準では、ベテラン付近に位置すると思うのですが、そんなものですか?」

微笑むアニム王を見ながら俺は聞いてみる。

「レベル34だったね。 そんなものだろう。 ただ、普通は時間をかけてそのレベルになるからね。 クスクス・・まぁ、特別だね」

そして、アニム王は真剣な顔つきになって話してきた。

「だが、テツ・・力を持つということは責任も伴うということだ。 私が言うのもなんだが、気を付けて行動してくれよ。 力の方向を間違えて、邪王と呼ばれる存在になった人間もいる」

「邪王・・ですか」

俺は言葉を反芻(はんすう)しながらも、魔王じゃないんだなと思った。


俺の方を見てアニム王は言う。

「そう、邪王だ。 魔王は存在しているし、別に悪ではない。 テツは魔王が悪い奴だと思っていなかったかな?」

あんたエスパーですか!

すべてお見通しか。

「はい、そう思っていました」

俺も素直に答える。


「邪王と呼ばれるものは、魔族からも人族からも、すべての種族から現れる可能性がある。 力のみでしか考えれない生き物となる」

アニム王は独り言のように語る。

「私も若いときに出会ったことがあってね。 大変な思いをしたよ。 ま、テツはそうならないようにしてくれたまえ。 さて、そろそろお別れの時間かな。 テツはまた元の場所へ帰るのだろう?」

あんた、ほんとに何から何までお見通しだな・・俺も笑ってしまった。

「何か、おかしいかね?」

アニム王が不思議がる。

「いえ、そうではないのです。 何というか・・アニム王はなんでもお見通しなんだなと思ってしまいました」

アニム王は首をかしげ、そうかな? と言ってお互いに笑ってしまった。

・・・

後、アニム王が言うには、アニム王国には龍族、魔族、エルフ族、ドワーフ族などの固有種が存在していたそうだ。

それぞれの系統の精霊や神も存在するらしいが、それを統治していたのが光の神らしい。

また、それらの種族も転移してるかもしれないので、誰にでも捉えられる念話を飛ばしていたという。

ん?

あれ?

今更ながら、アニム王と会話が普通にできてるけど、これっていったい?

「あぁ、それは、言語変換のスキルだよ」

アニム王が教えてくれる。

誰でも自分以外の言語と接すると、付与されるスキルらしい。

なるほど、便利だなこのシステム。


それよりも俺はアニム王の言う、とある種族に引っかかっていた。

聞き間違いじゃないよな?

「エルフ・・」

俺は思わず声に出していた。

アニム王が少し驚いた顔をして俺を見る。

「どうしたんだいテツ? エルフを知っているのかな?」

「い、いえ、知っていると言うか、私たちの世界でも耳の長いエルフのイメージがあるのです。 あ、実在はしないですけどね・・たぶん」

俺がそう曖昧な説明をすると、アニム王はうなずく。

「なるほど・・やはりこの星とは何か関係があるのかもしれないな・・」

アニム王がブツブツとつぶやいていた。

俺にはよく聞こえなかったが。


しかし、見てみたいな男の悲願エルフ!!

いや、俺の悲願か。

弓からの連想で嫁が顔が頭に浮かんだが、すぐに頭を振り、消した。

さて、アホなことを考えるよりも、そろそろ本当に帰らなければいけないだろう。

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