第49話 アニム王に会いたい


『アニム王、いろいろとありがとうございます。 えっと、最後にダンジョンは無理にしても、私のような人口密度のそれほど多くないところでの、魔物の管理の仕方とか・・ありますでしょうか?』

聞きたいことがいろいろと俺の頭の中に浮かぶ。

『あはは・・いや、すまない。 テツの質問があまりにも多いのでね・・』

アニム王はカラカラと笑う。

『すみません、アニム王・・』

俺は失敗した、と思った。


『いや、気を悪くしないでくれ。 ものすごく熱心なんだなと思ってね。 ダンジョンだったね。 また、それに代わるもの。 ダンジョンはダンジョンクリエーターやラビリンスなどの職があれば、簡単にできるんだよ。 イメージでそのまま作ればいいからね』

アニム王は続ける。

『それ以外では、街単位で管理していたね。 魔石を洞窟や森の奥に集めて管理する。 魔物が触れられないような箱に入れておくんだ。 魔物は魔素や魔石に引き寄せられて集まってくる。 その周辺では魔物同士が減らしあってくれるよ。 たまに強い個体が残るが、比較的コントロールしやすいからね』

その説明を聞き、俺はなるほどと思うしかできなかった。

それにしても、うまくできてるシステムだなぁと思う。

そりゃ、地球が選ぶわけだ。

地球に意思があればだが。


『どうかね。 役に立てたかね』

アニム王が静かにたたずんでいる感じが伝わってくる。

『もちろんです、アニム王。 ありがとうございます』

まだまだ疑問は尽きないが、そのうち少しずつ聞いていこう。

・・・

アニム王との念話は終了した。

そして、俺はやはりアニム王のところへ行こうと秘かに思っていた。


念話だけなのに、結構疲れたような気がする。

・・・

ばあちゃんは、俺が休んでいると思っているようだ。

俺は目をゆっくりと開けて、ばあちゃんにお礼を言う。

「少し休んで落ち着いたよ」

「そうかい、それは良かった」


颯・・まだ実験やってるのか?

スライムと触れてると落ち着くのかな?

時間は13時40分頃だ。

ん?

玄関の閉まる音が聞こえる。

嫁が帰ってきたらしい。

近所の人たちにいろいろ教えてきたそうだ。

嫁はいいことをした気分なのだろうか、ご機嫌だ。

ステータス画面を初めて見たときには、みんな同じ反応らしく笑えたという。


魔物を倒してレベルを上げること。

我が家では父親が中心となってパーティを組み、経験値の獲得をして家族のレベルを上げている。

また、魔物も1時間くらいのペースで出現したり、ボスはかなり強いから近寄らないようにとか、いろいろ上手に伝えることができたようだ。

さすが、対外の調整は上手だな。

俺ならこんなにできない。

さて、もう少ししたらリポップの時間だが、今度は結構人数来るんじゃないか?

もしご近所さんも一緒とかなら、俺は遠慮したいな。

ロクなことにならないだろう。

そうだ、じいちゃんにまたお願いしたいものがあったんだ。

無理させすぎか?

あ、嫁に口止めしておかなきゃ。

それに、みんなに言っておかなきゃならないことがある。


俺は颯のいる方へ近寄っていく。

よく飽きずに見ていられるな。

そう思ってスライムと颯を覗き込む。

凛はまだ触らせてくれないらしく、ふくれっ面をして颯とスライムの傍でいる。

・・・・

・・

確かに飽きないな・・これは見てて楽しそうだ。

っと、いけない。

伝えておかなきゃ。

たぶん、大事なことだと思う。

「みんな、ちょっと聞いてくれ」

まずはじいちゃんとばあちゃんの職業だが、特にじいちゃんの職業は黙っていた方がいいということ。

冷たいと思われるかもしれないが、作らされすぎて死んだら意味がない。

・・・

みんな案外納得してくれた。

ばあちゃんも同じだ。

無理して他人を助けても、それでばあちゃんたちが疲弊しすぎたら悲しすぎる。

俺はまず家族に生き延びてほしい。

それで余裕があれば、人助けしてもいい。

そういう考えだ。


田原さんが、ばあちゃんのことを知ってるが、そのうち嫁に何とかしてもらおう。

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