自動人形―Automata―

時雨哀流

汚い人形

今日も迷惑かけちゃったな、、、、


いつもおれのせいで


おれを拾ってくれたあの日からずっとあなたに尽くし続けるって決めてたのに、、、、


おれはみんなみたいにあなたの操り通りに動けないし、歩き方もいつも変。


それにすーぐ腕が取れて縫ってもらって、、、


頭も綿が入ってなくてすっからかんで、せっかく綿入れてもらってもぼろぼろと落ちてくる


結構年季も入ってておんぼろなのに、




なんであの時拾ってくれたの?


でも嬉しかったよ、拾ってくれて


ゴミ広場に捨てられてたおれを


あの時あなたがおれの錆びた発条ぜんまいを回してくれたおかげで


この世界が輝いて見えたんだ


そう



魔法がかかったみたいに



おれもあなたのお人形さんだけど他にもお人形さんはいる


みんなおれより優秀でいつもあなたに褒められている


羨ましいよ


でもみんなには意思がない


考える力が無い


お人形さんはそういうものだけど


何故おれには意思があるんだろう


人形に意思なんかいらないのに、、


それにみんなにはあなたに付けてもらった操り糸があるけどおれには無い


みんなは操り人形だけど、おれは自動人形Automataなんだ


まるで人間のように動く


あなたが唯一気に入ってくれたところ


でもそれじゃ嫌なんだ


おれも操り糸を付けてもらいたい


あなたが言った通りに動きたい


そう思った時


考えついたんだ


そうだ



1回壊れればいいんだ


おれは足を引きづって歩き出した


足が使えないのも


前の持ち主の人がやったんだ


いつも乱暴に扱ってたけど、あなたは違った


いつも怒ってたけど優しく扱ってくれた


それが嬉しかった



何分たっただろう


おれはある交差点の前に立っていた


ここで車に轢かれて壊れたら意思もなくなるだろう


そう思って足を前に出したんだ


そしたら


なんであなたがいるの?


なんでおれを押したの?



なんで車に跳ねられてるの?





いつまでたってもあなたが帰ってくることは無い


ずっと写真の中


「いつ写真から出てきてくれるのかな?」


あなたが大事にしていた人形操り人形に話しかけるけど


声はかえってこない


「そりゃそうか」


おれは暗くなった世界を見渡して、唯一空で光っていたクリスタルを見つめた


俺もあんなに綺麗になれたらな














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