えぴそーど3♡とってもやばい場所
「コホン。早速だけど……早速じゃないか☆月宮ちゃんの悩みはなんだい??」
さっきまで騒がしかったのが嘘みたいに部室内は静まり返る。閉まり切った戸や窓の向こうから、部活動に励む生徒や談笑する生徒の声が小さく小さく聞こえてくる。
やっぱり笑われちゃうかも、と不安だったけど、私はこの人達と少しずつ打ち解けられていると思っているので、思い切って話す事にした。
「じ、実は私……。
何の取り柄もないんです!!」
二人の顔をまともに見られなくて目を瞑る。そして叫ぶ。二人はきっと私を見詰めている。
二人の返事が返ってくるのが怖くて、私は間髪入れずに続けた。
「ほんとに何も出来ないんです!小学生の時、体育はいつも頑張りましょうだったし、徒競走でビリ以外取った事ないし、ハンドボールとかの試合で私が居るチームが勝った事一度もないんです!
勉強も目が悪くて黒板の字写すのすごく遅くて、先生の話聞くのも苦手で〜〜」
「もういい。一回落ち着きな。」
「え……」
保科さんに遮られ、私は思わずぽかんとした。眼鏡がずり落ちる。
「月宮さん。あなたはうちの部活に相談するべき生徒じゃないって事がよく分かったわ。いいえ、ここに来た時からそれは分かっていた事かもしれない。」
「え、え、え???」
「まずはそのネガティブ過ぎる思考を直す為にスクールカウンセラーに相談する事を勧めておくわ」
「え、え、え!!!」
な、ななな何で?私何か気に障るような事言ったかな〜〜?
「お悩み相談してくれるんじゃなかったんですか!?最後まで責任持って解決してくれるんじゃなかったんですか〜!」
半ば涙目の私。どうしてよ〜。
「だ・か・ら!うちは特定の悩みを持った人の問題しか解決出来ないの!あなたはそれに当てはまらなかっただけ!分かった?」
「わ、分かりません〜〜」
最初の怖い保科さんに逆戻りだよぅ。何で私の悩みはダメなの??
私は大型犬に睨まれ助けを求める子犬のように内空閑さんを見た。
「ごめんね月宮ちゃん☆その特定の悩み〜って言うのが企業秘密で部員以外の人には教えられないのだ☆せっかく相談しに来てくれたのにごめんね??怒ったかもしれないけど、どうか未来部の悪い噂を流すなんて事はしないでほしいかなぁ……☆」
「そんな事しませんけど……納得出来ないです!!」
ぽい。
「!?!?」
私は廊下に放り出された。ぴしゃりと戸が閉まり、内側から鍵を掛けられた模様。
「な、何で〜?」
ずり落ちた眼鏡が更にずり落ちて、床に落ちた。
「メガネメガネ……」
手探りで眼鏡を探す。
未来部……。いい部活かもって思ったけど、全然良くない!いきなり外にほっぽり出すなんて酷すぎるよ……。
視力が極端に悪くぼやけた視界が、涙で更にぼやけた。
やっと眼鏡にあり着いて、私は立ち上がる。
振り返って未来部の部室をチラ見して、こう言ってやった。
「もう絶対来ないもん」
駆け足で階段を下っていった。この後、落し物箱を見る事をすっかり忘れていて、家に入れなかったのは言うまでもない。
「あの子も違ったわね。」
「そろそろ現れてもいい頃だよねぇ……☆」
未来部部室内では、夕日が沈み掛けている校庭を眺める二人が小さな声でそう呟いていた。
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