前のエピソード――黄金の風

　私の実家は大阪にあるのですが、仕事の都合で大阪に住んでいません。今住んでいるところは近くにカードショップがないので多くのカードを実家に置いています。実は、大会一週間前に実家に帰って来た時にジョジョのデッキを忘れて置いていったので前日までデッキに触れずにいました。

　でも構築は既に完成しており、一人回しで試行回数を重ねた結果概ね問題ないと判断していたので不安ではありませんでした。

　さて前日、意気揚々とホームショップに行き、最後の調整として対戦をすることになりました。

　この対戦が今大会でのターニングポイントの一つでした。

　対戦相手は富士見ファンタジアでした。タイカプに出るので絶対に出会わない相手ですが、私は自分の構築の動きに問題がないかの確認だけのつもりだったので対戦相手は誰でもよかったのです。

　相手は扉（カムバック）電源でした。立ち上がりはそこそこ。レベル１からはこちらの８電源で面を堅く作り、相手がレベル３になるまで盤面に勝ち続けました。

（これはいけそうだな）と思っていたら、相手がレベル３の効果でレベル３を出し、さらにそのレベル３がパワー全体上昇とCIP（登場時）回復を持っているレベル３を出しました。

　？？？　え？　使用したのは２コスト……ですよね？　それでレベル３が三面湧いて、さらにパワーラインが異常に高いんですか？

　パワーをあげるレベル３が既にもう一枚電源で出ていたのであら不思議。素でパワーラインが１３０００あります。うーん、カードパワーインフレしすぎでは？？？

　盤面崩壊。セッコ達は地に沈められました。

　そしてここからが問題、実はジョジョは基本的にパワーラインがかなり低いので、１３０００は中々抜けません。ですから８電源はレベル３まで盤面を取らないといけなかったんですねー。

　KC（キング・クリムゾン）で守ろうにもまず相手のキャラが抜けません。レベル３のディアボロですらカウンター圏内。８電源の存在価値が粉砕され、私は絶望しました。

（８電源は駄目だ……これじゃあ勝てない。デッキを変えないと）

　相手がタイカプに存在しない富士見なので一見関係ないように思えますが、ジョジョのタイカプではレベル３になった時に相手の盤面を崩壊させに来る悪魔がいます――《覚悟の重みプロシュート＆T・G・D》です。

　慌てて構築を崩し、初めからやり直しです。そして何回かの試行で生まれた構築が、金塊扉というオーソドックスな構築でした。

　As（エアロスミス）や他の構築も考えましたが、前日に急にトリッキーなデッキを作っても当日コケるだけだと思ったので、一番ブレが少ないであろう金塊扉にしました。レベル１の動きとしてはフーゴを使った風（リターン）デッキが一番安定すると分かっていましたが、対応の風自体がそもそもトリッキーなので、トリガーした時の安定感も考え金塊（トレジャー）扉にしました。

　そして私は、前日に急遽くみ上げた構築でタイカプに挑むことになったのです。