第55話
【壁ドン】
壁を背にした女の子の脇に手を置き、耳元で愛を囁くこと。
私、夏川雫にとっても夢のようなシチュエーションだ。
けれど私はあろうことかそれを――、
――
それは俗に言う逆壁ドンだった。
そんな私の内心はと言えば、
――ひぃええええええええええええええええええええっ‼︎ ちょっ、何よこれ⁉︎ 一体何がどうなったらこうなるのよ⁉︎
もちろん女の私が男の子である翔太くんに壁ドンをすること自体おかしいことは分かっているわ。
けど、なんで……どうして翔太くんから返し技である
抱きつかれてグイって引き寄せられているんですけどおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ‼︎
密着して初めて知ったけれど彼もその……やっ、やっぱり男の子なのね。触れるところ全てが私と違って硬いわ。
それより鼓動は大丈夫かしら。口から心臓が飛び出してしまいそうなほどバクバク言っているのだけれど……。
私たちがどうしてこんなことになっているのか。
それを説明するためには時間を遡る必要がある。
ほっ、本当に
【壁グイ】
壁ドンされた人が向かい合った異性に抱きつきに行くこと。
僕、小森翔太はあろうことかそれを――。
――千年に一度の美少女、
そんな僕の内心はもちろん荒れ狂っていて、
――ひぃええええええええええええええええええええっ‼︎ ちょっ、何これ⁉︎ 一体何がどうなったらこうなるのさ⁉︎
もちろん男の僕が女の子である夏川さんに壁グイをすること自体おかしなことは百も承知だよ!
けど、なんで……どうして僕はあの夏川さんから壁ドンをされているのさ⁉︎
それに密着しているということはその……夏川さんの双丘が僕の胸元でむにゅりと形を歪めているわけで!
おかげで僕の意識も歪み始めているわけで!
なんだこれなんだこれなんだこれ⁉︎
もう本当に意味が分からないんだけど!
僕たちがどうしてこんなことになっているのか。
それを説明するためには時間を遡る必要がある。
ほっ、本当に
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