第124話

「ウ、ウウン」




 アシュラフの咳払いが聞こえて来て、顔をあげると、三人がこちらを見ていた。




 ミオは我を忘れてジョシュアを求めていたことに、赤面する。




「ミオさん。僕たちはお暇することにしようか」




 ジョシュアに耳元で囁やかれ頷くと、マデリーンが一歩踏み出してきてジョシュアに聞いてきた。




「あなた様は、私に尋問するためにやってきたのではないのですか?グレートマザーは西班牙に大層お怒りだと聞いています。本や無敵艦隊の模型は、本当は尋問の小道具なのでしょう?」




「君が大丈夫かどうか、心配だったのも本当だよ」




 マデリーンは、急いで寝室に戻り部屋の扉を閉めた。数分後、本を持って戻ってきて、なぜかミオに渡した。




「ミオ様。もしかしてあなたはジョシュア様の愛しい方?だったら、これを差し上げます。先とは別の本です」




「こんな高価なものをいただいてもいいのですか?それに俺は字が……」




「挿絵だけでも楽しめます。ジョシュア様のお相手には、きっとぴったりな本です。ジョシュア様、グレートマザーによろしくお伝えくださいませ」




マデリーンが、今までの中で一番明るい声で言った。

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